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(2011年7月1日~)
ホスピス・緩和ケアに関する調査研究報告
2002年度調査研究報告


■がん患者のリンパ浮腫に対する臨床的手技の確立と普及に関する研究  <3P>

4. わが国におけるリンパ浮腫のケア用品に関する調査

1. 調査目的
 わが国で入手可能なリンパ浮腫のケア用品の実態を明らかにする。

2. 調査内容
 方法 ケア用品に関する販売情報を収集し、比較検討する。
  販売情報は、ケア用品の製造・販売メーカーからのパンフレットを元にしている。
 調査項目
  1)リンパ浮腫ケア用品取り扱い会社
  2)販売内容:製品の種類、規格、価格
 調査期間 2002年6月1日~2003年1月20日

3. 結果
 わが国において医療用品関連会社の中で、リンパ浮腫のケア用品を取り扱っているのは、数社に限られている。その数社の中では、ナック商会が最も多くの製品(品目、規格)をそろえている。その他は、取り扱っていても、ストッキングのみの場合や一部の規格に限定しているなどの状況にある。
スリーブやストッキング類に関しては、ドイツ、スイス等のヨーロッパからの輸入品に依存している。わが国でも1社(アルケア)が国内生産のストッキング(スリーブは生産していない)を販売しているが、圧迫圧の上限が30mmHgであることやサイズ、タイプ、色共に規格が少なく多様な様相のリンパ浮腫に対応できる状況にない。しかし、最近テルモがドイツのバイヤスドルフ社と提携して、リンパ浮腫のケア用品の開発を進めている。本年中には、完全オーダーメイド制のスリーブやストッキングの国内生産が始まる予定である。(表5参照
 価格は、スリーブやストッキングは4000円~20000円、弾力包帯は1巻250円~1700円で販売されていてメーカーによる格差が生じている。(表6参照
特に輸入品は国産に比べ、2~3倍の価格で販売されている。現状では比較できるほどの製品がない中で結論づけることはできないが、リンパ浮腫のケアを普及するためにも、国内で良質のケア用品が開発を願わざるを得ない。

4. 考察
 この実態調査により明らかになったことは、わが国においてはケア用品の販売情報を得ることさえ困難な状況にあるということである。インターネットのホームページや製品の取り扱い会社より直接カタログ等を取り寄せて得た情報も非常に限られたものである。
 販売している製品が少ないために、吟味して選択する余地はない。また、ヨーロッパからの輸入品に頼らざるを得ないストッキングやスリーブ類は体型の違いに関連した問題も発生する。四肢の長い体型に合わせたストッキング類では、日本人には長すぎるために、折返して使用する、皺ができるなどという状況になり、結果として適正な圧迫効果が得られない。実際に、私たちも長すぎるストッキングを折返して使用したことで皮膚トラブルを招いたといいう苦い経験をしている。
 日本人に合うストッキング類の開発を強く希望する。そのほかにも、包帯材料やクッション類の開発も必要である。 次にコストの問題である。現在は保険診療の適応外であるために、ケアに必要な用品は患者の自己負担あるいは施設負担となっている。圧迫療法を実施する場合には、弾力包帯法であってもクッション材や包帯、テープと合わせると5000円から10000円の費用がかかり、ストッキングやスリーブとほぼ同額の費用となる。
 高額な費用を負担することが困難な患者は、ケアを受けたくても受けられず、一方、ケアを提供する側は、ケア用品を購入してもらえないために適切な対応ができずにいるという現実がある。コストの問題も早急に取り組むべき課題と考える。


5. 今後の課題

 終末期がん患者のリンパ浮腫のケアを普及させるための課題を以下に示す。それぞれの理由はすでに述べてきたので、ここでは項目のみを列挙する。
 [1]リンパ浮腫のケアプログラムの確立
 [2]リンパ浮腫のケアのためのスペシャリストの育成
 [3]リンパ浮腫のケア用品の開発
 [4]診療報酬化への提言



6. 調査・研究の成果の公表

 この調査結果は、全国ホスピス・緩和ケア病棟連絡協議会の年次大会看護師長会議において報告させていただければと考えている。


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