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基礎情報から、教育プログラムを持っている施設は、16施設(31%)であり、無いもしくは準備中の施設が63%であった。また、有るとの回答のなかにも、“簡単なもの、1-2年目のプログラムのみ”“チェックリスト的なもの”というコメントも付記されており、保有している教育カリキュラムの改善や、準備中もしくはこれから準備するためにも、看護師教育カリキュラムを提示することの意味は大きいと考えられる。 |
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カリキュラム(案)の到達目標の適切性については、適切であるとの回答が80%であったことから、概ね妥当との評価と判断して差し支えないと思われる。ただし、経験年数で分けるよりも、レベル別にしたほうが良いのではなどの意見もあり、各施設の運用段階で自施設にあった方略に修正する内容としておくのか、カリキュラムの意図として経験年数別の重要性がどの程度なのかを再検討する必要があると考えられる。 |
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教育内容の項目立てについて、加えた方が良い項目として14件が挙げられていた。挙げられた項目のそれぞれについて、大・中・小項目のどこに位置し、どこに加えるもしくは内容として含まれるのか、加える必要性の有無について、検討する必要がある。 |
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教育内容の項目立てについて、削除してもよいと思われる項目について2件あげられていた。プリセプターシップについては、各施設の看護システムの違いもあり、ホスピス・緩和ケア領域で是非必要な考え方として位置付けるかどうかの判断を明らかうにする必要がある。 |
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貴施設で実施が困難と思われる項目については、17項目が挙げられていた。特にスピリチュアルペインについて11件あること始めとして、いわば、全人的ケアを実践する上で不可欠な要素でありながら、これまでの医療・看護で深く追求されないままになりがちであった領域のものが多く挙がっているという特徴があった。これらについては、プログラムの運用方法提示における課題として検討されるべき内容となると思われる。HIVとAIDSについては、「緩和ケア病棟入院料」が“主として末期の悪性腫瘍及び後天性免疫不全症候群の患者を入院させケアをおこなう病棟”と規定されていることから、項目立てに加えられている。実際のホスピス・緩和ケア病棟におけるHIV/AIDS入院患者数の詳細は不明で現状把握の必要があると思われる。ホスピス・緩和ケアの対象とは?という課題を含む内容でもあり、教育カリキュラムに位置付ける意味を明確にする必要がある。 |
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教育カリキュラムの実施を阻害する要因については、[1]指導する人材に関すること(指導する人材がいない・養成する余裕がない等)[2]教育の為の時間確保困難[3]教育方法・評価に関すること[4]スタッフ構成や学習に対するモチベーションに関すること(短期間の人事異動、経験の差異等によるマイナス影響)が挙げられ、母体組織の運営方針や人材育成方針にも関連した内容が多く、容易に解決することは困難な課題が多く提示されていた。しかし、制限の有る現状の中で、教育カリキュラムを参考に自施設で出来ることは何か模索しようという意欲や、自施設だけでは実現不可能な部分を、協議会や看護協会・大学等との連携を視野に入れて、何とか教育の機会を創出していこうという前向きな意見やアイデアが多く書かれ、改善への熱意が感じられた。教育・研修委員会では、これらの貴重な意見やアイデアを参考に、教育カリキュラム案の推敲と運用方法についての検討を重ねていく予定である。 |