5. 結果
1) アンケート回収結果 アンケートの回収は返信用封筒が63通で、施設としての回収率は68%であった。この内[ソーシャルワーカー用]の回答が53件、[緩和ケア病棟責任者用]が20件であり、MSWと緩和ケア病棟責任者ともに回答された施設が10件あった。2種類のアンケートの回答について、それぞれ質問順に結果の概略を示し、考察を加える。また、最終質問の自由記載については、多くの回答が寄せられ、MSWの熱意が感じられるものであった。今回は紙面の制約上全ての報告ができないが,今後何らかの形で報告を行いたいと考えている。 2) MSWの基本的属性について 回答者53名中の男女差は、男性13人(24.5%)女性39人(73.6%)不明1人であった。年齢、経験年数、最終学歴、資格、所属、病院全体MSW数の内訳については、図1-1~図1-6に示す。この内、所属については、選択に際し、あらかじめ条件設定を行った。条件は、次のとおりである。
- 専 任・・緩和ケア病棟に専従として配置されている
- 準専任・・緩和ケア病棟担当として任命されているが、他の分野のソーシャルワーク業務も行うことがある
- 兼 任・・一般のソーシャルワーク業務の1つとして位置付けられ、要請があった時や必要に応じて緩和ケア病棟に関わる
最近は、MSWに有資格者が増加しているが、経験年数と資格との関係をクロスしてみた結果、社会福祉士29人中、経験年数5~10年が最も多く11人で37.9%であった。次いで経験年数3年未満と3~5年がともに5人で17.2%であった。精神保健福祉士4人の中では、経験年数20年~25年未満が2人で半数であり、5~10年未満と15~20年未満が1人ずつであった。また介護支援専門員は、経験年数5~10年が11人で44%であったが、他は、3年未満には取得者がいなかったものの、3~5年未満2人、10~15年未満、15~20年未満、20~25年未満ともに4人であった。なお、経験年数に欠損値があり、クロス上の介護支援専門員の合計数は25人となっている。 次に、所属と病院全体のMSW数の関係をクロスしてみた結果を図2に示す。MSW数が2人以下の病院では圧倒的に兼任が多いが、逆にMSW数が多い病院で専任が多くなるという結果にはなっていない。
図2 所属とMSW数
3) 入院前の業務について MSWが緩和ケア相談窓口として機能しているかどうかの状況については、相談窓口として位置付けられている人が、回答者53人中34人(64.2%)であった。窓口での相談内容は、表2に示す。
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図3 所属と相談窓口 |
また所属と相談窓口との関係をクロスした結果、図3に見られるように専任、準専任については殆どMSWが相談窓口として機能していた。次に相談窓口として位置付けられていない19人(35.8%)から回答のあったMSW以外の相談窓口部署については、緩和ケア病棟婦長が17人で70.8%を占めていた。その他は看護部や事務職、ホスピス長など複数回答もあった。MSW以外の職種が相談窓口となっていることについて問題を感じているかどうかの問いについては、窓口業務が統一されていないことにより、患者の事前情報がバラバラであったり、MSWが関わる際に、状況の把握に時間がかかるなどの意見があり、問題認識は、26,4%であった。 患者の全体的な情報把握のために必要な、患者の初診に同伴することや、入退棟判定委員として機能しているかどうかについては、図4-1~図4-2に示す。 入院前の業務の自由記載については多様であり、全て掲載できないが、緩和ケアの啓蒙活動や、他病院のMSWからの直接的な相談や病棟案内や見学の対応などの内容があった。
図4-1 入退棟判定 |
図4-2 患者の初診同伴 |
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