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(2011年7月1日~)
ホスピス・緩和ケアに関する意識調査
今回の調査で明らかになった興味深いこと

1.人生の最終段階で希望する治療
 末期のがんや重い病気により、治る見込みがなく死が近い場合、人生の最終段階で希望する治療は、延命のための治療より、苦痛を緩和する治療を多くの人が希望しました。この傾向は年齢が高くなるほど強くなります。しかし、家族などと人生の最終段階について詳しく話し合っている人は 1割であり、一方、「特に希望はない」、「分からない」と回答した人もあわせて 3割ありました。人生の最終段階では、延命治療より緩和治療を希望する意見が多数派ではありますが、意見の定まっていない人もあり、一度ではなく何度も繰り返し話し合う機会を持つ必要性が示唆されました。これらのことから、人生の最終段階において、希望する治療について、パートナーや身近な人と話し合う習慣を持つことが必要であることが示唆されました。

2.理想の死に方、自分の場合と大切な人の場合
 自分で死に方を決められるとしたら、「ある日、心臓病などで突然死ぬ(ぽっくり死)」を選ぶ人が 8 割、「病気などで徐々に弱って死ぬ(ゆっくり死)」を選ぶ人が 2 割でした。 “ぽっくり死”を選んだ理由では、「苦しみたくないから」、「家族に迷惑をかけたくない」という 2つの思いが強く、“ゆっくり死”を選んだ理由では、「死のこころづもりをしたいから」が挙げられました。また、大切な人の場合は、少しでも長生きしてほしいということから、“ゆっくり死”を選ぶ人が 6割となりました。

3.配偶者より先に死にたいか、後の方がいいか
 既婚者の 3人に 2人が、「自分が先に死にたい」と考えていました。明確な男女差が認められ、男性の 8 割に対し、女性は 5 割にとどまっていました。その理由を聞いたところ、「パートナーを失う悲しみに耐えられないから」、「自分が死ぬときにパートナーがそばにいて欲しいから」など、自己中心的とも思われる理由が多く、男性にその傾向が強いことが分かりました。一方、「自分が後に死にたい」人の理由をみると、「パートナーの最期を看取ってあげたいから」、「パートナーの生活が心配だから」が半数となりパートナーへの配慮の気持ちが伺えました。 また、配偶者との死別後の困難を聞いたところ、「自分なりの生きがいをみつけられるか」、「悲しみから立ち直ることができるか」を挙げた人が多く、配偶者を失った後の生き方が大きな課題となっていることが示されました。

4.あの世はあるか
 「あなたは『あの世」というものを、信じていますか」とたずねたところ、最も多かったのは「どちらともきめかねる」(42.4%)で、「信じてはいない」(35.6%)を上回りました。
 性別では、「信じてはいない」と回答した人は男性で 46.8%と半数近くですが、女性では 24.7%にとどまりました。年齢層別では、年齢が高くなるほど、あの世の存在を信じない人が増える傾向にあり、全体的にみれば、あの世はあるかないかという判断ではなく、どちらともきめかねるという曖昧な感覚を多くの人が持っている様子がうかがえます。

2018年5月
(公財)日本ホスピス・緩和ケア研究振興財団
意識調査実行委員会



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