B.Yorkshire Hospice Peer Review Audit の実施方法 1.監査サイクル(図1、図2) 監査全体のスケジュールは、図1のように行われる。このように、監査は定期的に行われる活動であり、図2のようなサイクルになっている。この監査のサイクルはどこから入っても良いが、次の主要な4つの段階がある。
- 「目的」:何を達成するためのスタンダードであるかを定義づける。
- 「現状の測定」:スタンダードが達成できているか。
- 「現在のレベルを知る」:自分たちのホスピスがどのレベルであるか、 基準が満たされていないのはなぜかを知る。
- 「変化する」:ホスピスを変化させるための計画を実践する。
2.監査員の役割 1)監査ファシリテーター 監査が決定した時から、監査を受けるホスピスに準備の指示を与えたり連絡調整を行う。監査チームを組織し、指導し、監査報告書を完成させる任務がある。監査期間中は、監査がスムーズに進行し、何か問題が起きればすぐに対応できるように待機している。 2)監査員 ホスピスがPeer Review Audit Toolを遵守しているかどうかを評価すること、ホスピスが組織全体として発展し一定の質を保てるようにフィードバックを与えることである。
3.監査員の選出・トレーニング それぞれのホスピスから監査人となる他職種の人達を選び、その人達をトレーニングする。2001年3月までに26名のトレーニングを受けた人が監査人となっている。 トレーニングは2日間行われ、監査員としての信頼性があるかどうかテストする。テストは、第3者機関であるLeeds大学で行われる。そのトレーニング、テストが終了したら、監査員について一緒に仕事を見習う。 鑑査員に必要な資質、技術については、マニュアルに具体的に示してある。
4.監査方法 監査をするのは、4人の監査員とファシリテーターである。鑑査員は2人一組となって監査する。1組は、一人は臨床の現場の人、もう一人は臨床以外の人が組になって行う。監査ツールのスタンダードに基づいて、施設の視察、患者・家族・ボランティア・ホスピスで働いている人へのインタビュー、記録のレビュー・チェックを行う。ツールの評価は、「出来ている・出来ていない」という「はい・いいえ」のチェックと特記事項として記入する欄があり気づいたことを記入するようになっている。インタビューする場合は、インタビューする人と記録をとる人をきめておく。評価の視点は、スタンダードをホスピスで働く人全員が理解し、実施しているかどうか、記録されているか、チームワークがとれているかということなどである。
5.報告書 目的は、監査を受けたホスピスが、どこまで基準が満たされているかという詳細な監査報告をホスピスへ返すことである。監査ツールに記入するコメントは、報告書の基になるものであり、基準に照らして、事例に基づいた具体的な内容であるべきである。監査ツールと書類は3日間の監査が終了するまでにすべて記入が終わっていなければならない。仮の報告書は、でき次第ホスピスに送られる。
6.フィードバックセッション 監査を受けたホスピスが、監査員、監査ファシリテーターに報告書の内容について質問する機会をもてるようにするためである。監査員に誤って受け取られたことについてホスピスが訂正の機会をもつことになるが、点数は変わらない。コメントとしてその部分にイタリック体で記入しておく。このセッションのあとで修正が必要な時には、直ちに修正し、最終報告書を作成し、ホスピスに送る。
7.行動計画 ホスピスは報告書を受け取ってから6週間後に複数の専門分野にまたがる行動計画を作成し提出する。この行動計画書は、次回監査の時にどれだけ進歩したか評価するために用いられる。
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