2021年度 第22期事業報告書 (自:2021年4月1日 至:2022年3月31日)
[ご挨拶] 平素より、ホスピス財団へのご理解とご支援を賜り、厚く感謝申し上げます。この度、『第22期(2021年4月1日~2022年3月31日)事業報告書』が完成しましたのでお届けいたします。 2022年6月
(公財)日本ホスピス・緩和ケア研究振興財団 事業委員会・委員長 恒藤 暁
|
[事業活動]
(1)メサドンによる難治性がん疼痛治療に関する多施設共同前向き観察試験
新型コロナウイルス感染症の影響で、当初の計画から研究倫理審査の承認が遅れたため、次年度へ継続
となった。
(2)痛緩和のための鎮静に関する法律上の問題に関する研究
新型コロナウイルス感染症の影響で、当初の計画から研究倫理審査の承認が遅れたため、次年度へ継続
となった。
(2)痛緩和のための鎮静に関する法律上の問題に関する研究
新型コロナウイルス感染症のため2020年度採択されて、持ち越したが、新型コロナウイルス感染症の終息が見られないため、再度、次年度へ延期となった。
2.遺族によるホスピス・緩和ケアの質の評価に関する調査研究事業(第5次調査・2年目)
本事業は第1回目(J-HOPE1)を2006年度~2008年度、第2回目(J-HOPE2)を2009 年度~2011年度、第3回目(J-HOPE3)を2012年度~2015年度、第4回目(J-HOPE4)を2016~2019年度に実施した。 調査研究は主研究と付帯研究で構成され、世界的に大規模かつ質の高い研究として国際的にも評価されている。 主研究では緩和ケア病棟のケアの質を評価し、その結果を施設にフィードバックすることによりケアの質の改善を促すものである。 引き続き第5回目も、その内容をさらに充実させ、J-HOPE5として 4年間の調査研究事業を予定している。初年度の2020年は第5次調査のために研究の概要、スケジュールの検討会議と付帯研究説明会の開催および募集を行った。 本年度は研究計画書、調査票の作成を行い、東北大学での倫理審査と参加施設での倫理審査を行う予定であったが、新型コロナウイルス感染症の影響で調査実施を当初の2022年度から2023年度に延期することになったので、 倫理審査の受審等も延期したため、進捗がほとんどなく、次年度へ繰り越すこととなった。 【2021 年度実施内容】 ・調査および進捗スケジュールの変更 |
3.『ホスピス・緩和ケア白書 2022』(特集テーマの概説+データブック)作成・刊行事業
『ホスピス緩和ケア白書』として、2021年度版まで18冊を刊行・配布している。 2022年度版は、特集テーマを以下の内容で2022年3月発行した。 ①「緩和ケアチームにおける新たな試み」 ②「緩和ケアに従事する人への新たな教育・研修 ―セルフケア、マインドフルネスの視点から |
4.救急・集中治療における緩和ケアの推進(3年目)
高齢化社会の進行に伴い、高齢者の救急搬送が増加する中、集中治療室満床により、生命維持治療を実施しながら転院を強いられることや、生命維持治療の中止、差し控えを行う例が増加している。しかし、その実態は明らかにされておらず、救急・集中治療領域においての基本的緩和ケア・専門的緩和ケアの双方とも十分な教育も実践も行われていない。本研究は、 1)わが国の救急・集中治療領域における緩和ケアと生命維持治療の中止・差し控えに関する実態とunmet needsを明らかにすること 2)救急・集中治療領域において緩和ケアが必要な患者を効果的効率的に抽出することができるCase finding instrumentsを開発すること 3)救急・集中治療領域における基本的緩和ケアのベスト・プラクティスを収集し、基準となる実践の手引きを開発すること 4)救急・集中治療領域における基本的緩和ケアを実践するためのコミュニケーションスキルトレーニング法を開発することを目的として2019年度から調査研究を開始し、2019年度は事業会議を開催し、調査票の作成を行った。2020年度は、医師並びに看護師を対象とした質問し調査を実施し、我が国の救急集中治療領域における緩和ケアの実態を明らかにした。 本年度は、2020年度に行った調査の内容を分析し、その結果について学会発表を行うとともに論文にまとめて投稿した。1 論文が受理され、1 論文が査読中である。また、2020年度に行った調査の結果から、わが国において、救急集中治療領域の緩和ケアの普及は初期段階にあり、啓発・普及必要性があると考えられた。また諸学会の協力を得て、救急集中治療領域の緩和ケアを推進するためのフォーラムの開催準備を行った。 |
ホスピス・緩和ケアにおけるボランティアの役割を確認し、そのケアの向上をめざすためのセミナーは2002年以来継続して日本病院ボランティア協会との共催で実施されきた。本セミナーは各地の病院ボランティアから地元での開催を希望する声も多く、開催地 が偏ることのないよう配慮している。
昨年度は新型コロナウイルス感染症のため中止としたが、本年度は少人数参加による会場開催と、オンラインによる複合型で開催した。
・日 時 :2021 年 8 月 10 日(火)13 時 30 分~16 時
・場 所 :大阪社会福祉指導センター
・講 師 :宮川裕美子氏
・参加者 :99 名(会場 8 名 Web 91 名)
昨年度は新型コロナウイルス感染症のため中止としたが、本年度は少人数参加による会場開催と、オンラインによる複合型で開催した。
・日 時 :2021 年 8 月 10 日(火)13 時 30 分~16 時
・場 所 :大阪社会福祉指導センター
・講 師 :宮川裕美子氏
・参加者 :99 名(会場 8 名 Web 91 名)
6.Whole Person Care ワークショップ開催事業
18.日本・韓国・台湾・香港・シンガポール 第3期共同研究事業(3年計画の3年目)
2017年に欧州緩和ケア学会(EAPC)からACPの定義と推奨に関して国際的な専門家の合意が発表されたが、個人の自律性と同時に患者、家族の和を重んじる儒教文化の残るア ジア諸国には必ずしもそぐわないような項目も含まれ、アジアにおけるACPの望ましい在り方に関しては、国際的にも合意が得られていない。 本研究の主目的は、日本・韓国・ 台湾・香港・シンガポールの ACP の専門家の間で、これら5か国に適切な ACP の定義と推奨の国際合意を得ることである。 初年度の2019年度は、5か国の多職種で構成される国際的なACPの専門家により、本研究のタスクフォースを組織し、APHNとも連携し、系統的レビューと研究者間の協議を通して、ACP の定義、推奨項目について、EAPC の項目をたたき台にしつつ、アジアの文化に照らし合わせて大幅な加除修正を行った。その結果アジアでは患者・家族等両者の関与が重要であること、法制化や指針作りの必要性が唱えられていることが明らかになった。 2020年度は、上記の知見に基づき、アジア5カ国に適した ACP の草稿として、最終的に、ACP の定義 2 項目(拡張版、短縮版)・推奨 51 項目を作成した。また、デルファイ調査の準備、専門パネルの選定を行い、Web 調査を実施し、計63名(日本 19 名、韓国 19 名、台湾 14 名、香港 11 名)から回答を得た。 2021 年度は、主として定期的にテレビ会議を開催し、Web 調査結果から草稿の加除修正および翻訳作業を行い、修正版を作成した。 |