■Module10■ 泌尿器症状
|
〔一般問題〕
|
問題1 |
水腎症について正しいものはどれか |
(1) |
治癒を望むことのできないがん患者であっても片側水腎症が発見された場合,早急に尿路確保(腎瘻,尿管ステントの留置など)を行う |
(2) |
腎後性腎不全での腎瘻造設には侵襲が伴うため,治癒を望めないがん患者に対して原則として行わない |
(3) |
大腸がん再発の初期症状となることがある |
(4) |
骨盤内腫瘍の患者では,水腎症の早期発見のため上部尿路の画像診断を定期的に行うべきである |
(5) |
両側水腎症が存在しても,初期には特異的な症状がみられないことが多い |
a(1),(2),(3) b(1),(2),(5) c(1),(4),(5) d(2),(3),(4) e(3),(4),(5) |
|
問題2 |
両側水腎症の治療について誤っているものはどれか |
(1) |
経尿道的尿管ステント(膀胱鏡による)が最も確実な治療手段である |
(2) |
利尿薬を使用して一定量の排尿があれば,侵襲的な尿路確保手技は不要である |
(3) |
侵襲的な尿路確保手技は,乏尿や無尿になってから行う方が治療効率がよい |
(4) |
リンパ節転移による尿管閉塞には放射線治療が有効である |
a(1),(2) b(2),(3) c(1),(3),(4) d(4)のみe(1)~(4)のすべて |
|
問題3 |
尿失禁について正しいものはどれか |
(1) |
尿道の過剰な移動が腹圧性尿失禁をもたらす |
(2) |
腹圧性尿失禁では,神経障害を認めない |
(3) |
溢流性尿失禁の病態は膀胱排尿筋の過活動である |
(4) |
溢流性尿失禁の患者では尿意が弱く,間断なく尿がもれる |
(5) |
仙髄より上位の障害では反射性尿失禁がみられる |
a(1),(2),(3) b(1),(2),(5) c(1),(4),(5) d(2),(3),(4) e(3),(4),(5) |
|
問題4 |
尿失禁について正しいものはどれか |
(1) |
溢流性尿失禁の治療は,オキシブチニンなどの抗頻尿薬が有用である |
(2) |
三環系抗うつ薬は膀胱収縮を抑制し,尿道内圧を増加させる |
(3) |
尿失禁の診断に当たり,検尿は重要な検査である |
(4) |
尿失禁の診断において超音波検査は有用である |
(5) |
前立腺肥大による尿失禁には,抗コリン薬を処方する |
a(1),(2),(3) b(1),(2),(5) c(1),(4),(5) d(2),(3),(4) e(3),(4),(5) |
|
問題5 |
排尿困難について正しいものはどれか |
(1) |
排尿困難の診断と治療にあたっては,原則としてurethralpressureprofileなどの経尿道的検査が必要である |
(2) |
下部尿路通過障害(膀胱と尿道の障害)で腎不全が併発することはまれである |
(3) |
モルヒネは排尿反射を抑制し,外括約筋緊張を高める |
(4) |
フェンタニルは排尿筋収縮を抑制する |
(5) |
上部胸椎・頸椎損傷による排尿困難は血圧上昇・徐脈をきたすことがある |
a(1),(2),(3) b(1),(2),(5) c(1),(4),(5) d(2),(3),(4) e(3),(4),(5) |
|
問題6 |
排尿困難について正しいものはどれか |
(1) |
前立腺肥大症が存在する場合,清潔間欠的導尿(cleanintermittentcatheterization;CIC)を行うことは困難な場合が多い |
(2) |
高度の排尿困難が存在する時は,上部尿路の検査をする必要がある |
(3) |
モルヒネによる排尿困難に対してはαブロッカーが有用である |
(4) |
留置カテーテルによる持続導尿は尿路感染の機会を増加させる |
(5) |
脊髄損傷による排尿障害に対して,清潔間欠的導尿(CIC)や恥骨上膀胱瘻は感染の機会を増すため行うべきでない |
a(1),(2),(3) b(1),(2),(5) c(1),(4),(5) d(2),(3),(4) e(3),(4),(5) |
|
問題7 |
排尿時疼痛,膀胱・外陰部疼痛について正しいものはどれか |
(1) |
オピオイド使用中に膀胱炎が起こった場合でも排尿時痛や頻尿の程度は通常と同様である |
(2) |
膀胱刺激症状(疼痛,頻尿など)がみられたら,一般尿検査を行う必要がある |
(3) |
骨盤腔内腫瘍は膀胱攣縮痛や体位変換で増悪する持続的会陰部疼痛をもたらす |
(4) |
膀胱への腫瘍の浸潤は,排尿時の疼痛をもたらすことが多い |
(5) |
急性放射線性膀胱炎は排尿痛をきたすことが多い |
a(1),(2),(3) b(1),(2),(5) c(1),(4),(5) d(2),(3),(4) e(3),(4),(5) |
|
問題8 |
難治性の血尿に対しての治療に関する記述で誤っている組み合わせを選べ |
(1) |
膀胱内浸潤や腫瘍発育による血尿には放射線治療が有用である |
(2) |
腎細胞がんによる血尿には放射線治療が有用である |
(3) |
難治性の膀胱出血に対してアドナ遺とトランサミン遺の併用投与が有用である |
(4) |
難治性の膀胱出血に対して膀胱内へのホルマリン注入が有用である |
(5) |
難治性の膀胱出血に対して該当する動脈の塞栓術が有用である |
a(1),(2),(3) b(1),(2),(5) c(1),(4),(5) d(2),(3),(4) e(3),(4),(5) |
|
〔症例問題〕
|
〔症例1〕 55歳,男性.約1年前に肛門管がんでMiles手術+人工肛門造設術を受けている.鼠径部・骨盤腔内にがんの遺残があり,術後2ヵ月目から,多少の副作用があるものの2週間に一度の外来化学療法(5FU,イリノテカン)を施行.最近2ヵ月は腫瘍マーカーが継続的に上昇,新たな肝転移・肺転移出現PD(progressivedisease)との判断で,化学療法を中止し緩和ケア外来に紹介された. 最終治療の直後から3日間の下痢があり,その2日後の午後,緩和ケア外来を受診した.昨日から悪心,食思不振,倦怠感が増悪しつつあり,軽度腰背部と叩打痛,残尿感を訴えた. 意識レベルはJCS1,PSはECOG2,皮膚はやや湿潤で,脈拍数80/min,血圧160/100mmHg,体温37.4℃,酸素飽和度96%(RA)だった. |
|
問題1 |
どのような病態を想定して検査を進めるべきか |
(1) |
高カルシウム血症 |
(2) |
脱水による腎機能障害 |
(3) |
悪液質 |
(4) |
腎後性腎不全 |
a(1),(2) b(2),(3) c(1),(3),(4) d(4)のみe(1)~(4)のすべて |
|
〔症例1〕(つづき) 約2ヵ月後に同様の症状に加えて,約1時間毎の血液混じりの頻尿,時に失禁(排尿量は20~30ml/回)と排尿痛・会陰部痛・下肢痛が増悪したため,緩和ケア病棟に緊急入院した. 約7日前の血液生化学検査はBUN(血中尿素窒素)25.9mg/dl,クレアチニン2.1mg/dlであり,入院時,下腹部~下肢にやや硬い浮腫があり,陰茎・陰嚢皮膚は全般的に硬く,何ヵ所かの硬結を触れた. 陰部においてはピリピリ感とアロディニア,会陰部は締めつけられるような疼痛があった.下腿の疼痛は体動により増悪する刺されるような疼痛と表現され,刺激がない時でも下腹部~鼠径部に重しを乗せられたような疼痛が常時あり,旧肛門のしぶり感が時折みられた. 骨盤部単純CTで,腸管内ガスや便はさほど多くないが,腫瘍による溶骨性仙骨浸潤,膀胱直腸窩から膀胱,尿道,陰嚢,陰茎に浸潤する腫瘤を認めた.外来で,塩酸オキシコドン徐放製剤40mg/日,ジクロフェナク75mg/日,クロナゼパム1mg/日が処方されていた. |
|
問題2 |
次に考慮すべき治療として誤っているものはどれか |
(1) |
くも膜下フェノールブロック |
(2) |
腎瘻造設 |
(3) |
フェンタニルパッチへのオピオイドローテーション |
(4) |
ケタラールの投与 |
(5) |
尿道留置カテーテルの挿入 |
a(1),(2) b(1),(5) c(2),(3) d(3),(4) e(4),(5) |