作成にあたって 1998年以降、わが国の緩和ケア病棟認可施設数は急速に増加している。また、2002年度の診療報酬改定により緩和ケア診療加算が導入され、緩和ケアチームによるコンサルテーション型の緩和ケアサービスも増加している。しかし、2000年12月に行われた全国ホスピス・緩和ケア病棟連絡協議会・A会員施設師長会の看護状況調査において、自由記載欄に教育に関する悩みが71件記載されていたことからも推察されるように、ホスピス・緩和ケアに従事する看護師の教育は十分に行われていない状況にあった。このような状況を鑑み、教育研修専門委員会では、わが国のホスピス・緩和ケアの発展には教育システムの整備が必要不可欠と考え、その第一歩として「ホスピス・緩和ケア教育カリキュラム(他職種用)」(2001年12月)を作成した。我々は、この他職種用カリキュラムを基盤に、ホスピス・緩和ケアに従事する看護職に必要とされる知識・技術・態度の修得を目標とした教育カリキュラムの作成にとりかかった。2002年7月には「ホスピス・緩和ケア看護職教育カリキュラム(案)」を提示し、教育研修専門委員会、A会員施設師長会および各分野の専門家の方々からご意見を頂いた。頂いたご意見をもとにメンバーで何度も検討を行い、さらに全国ホスピス・緩和ケア病棟連絡協議会理事の方々からのご意見も頂き、今回、「ホスピス・緩和ケア看護職教育カリキュラム」を作成した。 このカリキュラムは、臨床における基礎的な看護に関してはすでに修得していることを前提として作成されている。このため、項目の順序性や時間などは、施設の特徴、看護職の経験年数、On the Job Trainingの内容などを考慮して活用することが望まれる。今後、このカリキュラムに基づく看護職教育がそれぞれ臨床で活発に行われ、ホスピス・緩和ケアに精通したエキスパート・ナースが誕生し、全国でより良い質のホスピス・緩和ケアが提供されることを願っている。カリキュラムの作成は、日本ホスピス・緩和ケア研究振興財団の助成を得て行った。ここに心より感謝したい。 2004年3月 全国ホスピス・緩和ケア病棟連絡協議会 教育専門委員会
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