module9.症状マネジメント:消化器系 | |||||
教育時期 | 教育方法 | 目 的 | 大項目 | 小項目 | 評 価 |
経験1年目 :中期 |
講義 ケ−スカンファレンス 自習 |
1)悪心・嘔吐 ・悪心・嘔吐の原因と治療、看護を理解する。 |
(1)悪心・嘔吐の定義 | ・悪心 胃の内容物を口から吐き出したいという切迫した不快感を咽頭部や心窩部に感じる状態である。嘔吐の前駆症状であることが多い。 ・嘔吐 胃内容が食道・口腔を逆流して勢いよく外へ吐き出される状態をいう。 |
□悪心・嘔吐のある患者の看護が実践できる。 |
(2)悪心・嘔吐の原因 | ・化学受容体トリガ−ゾ−ン 薬物、高カルシウム血症、尿毒症、低ナトリウム血症、肝不全、感染症、放射線治療 ・末梢性刺激 胃内容停滞、腸閉塞、肝腫大・肝被膜の伸展、便秘・宿便、腹水、咽頭刺激、気管・気管支の刺激 ・大脳皮質 頭蓋内圧亢進、予期嘔吐、不安、におい、味 ・前庭器官 乗り物酔い、中耳感染症、迷路の炎症、聴神経腫瘍 |
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(3)悪心・嘔吐の治療 | ・制吐剤の使用 中枢性D2受容体拮抗薬(ブチロフェノン系、フェノチアジン系)、運動亢進薬(メトクロプラミド、ドンペリドン)、抗ヒスタミン薬、抗コリン薬、コルチコステロイドなど |
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(4)悪心・嘔吐に対する看護 | ・少量の食事を頻回にゆっくりゆっくり食べるように促す。 ・食事する際は不快な物や不快なにおいのする物を置かないようにする。 ・食後はセミファ−ラ−位をとり、体位変換はゆっくり行なうように促す。 ・新鮮な空気を取り入れる。 |
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2)消化管閉塞 ・消化管閉塞の病態と治療、看護を理解する。 |
(1)消化管閉塞の原因 | ・がんに関連するもので胃がん、大腸がんなどがん自体の進行、がん性腹膜炎などがんの再発、転移 ・治療に関連するもので手術後の癒着や放射線治療後の線維化、薬剤の副作用 ・全身衰弱によるもの、重篤な便秘 |
□消化管閉塞のある患者の看護が実践できる。 | ||
(2)消化管閉塞の症状 | ・十二指腸や上部小腸で閉塞した場合は嘔吐が激しく、大量の未消化物あるいは胃液や胆汁を嘔吐することが多い。腹痛や腹部膨満は軽度である。 ・大腸や下部小腸で閉塞した場合は、便汁様の嘔吐が多く、腹部膨満や腹痛がみられることが多い。 |
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(3)消化管閉塞の治療 | ・手術(適応は予後によって限定される) ・胃管の挿入 ・経皮内視鏡的胃瘻造設術(PEG) ・輸液 ・薬物投与によるコントロ−ル:疼痛コントロ−ル、悪心・嘔吐のコントロ−ル、コルチコステロイドの使用、オクトレオチドの投与 |
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(4)消化管閉塞に対する看護 | ・悪心・嘔吐に対するケア ・疝痛発作への対応 ・経口摂取ができないことに対する辛さへの対応 |
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3)食欲不振 ・食欲不振の原因と看護を理解する。 |
(1)食欲不振の定義 | ・食欲不振は、食物をとりたいという意欲が低下もしくは消失した状態 | □食欲不振のある患者の看護が実践できる。 | ||
(2)食欲不振の原因 | ・がんによる症状:疼痛、悪心、嚥下困難、口内炎、味覚異常、電解質異常、尿毒症、感染症、末期状態(悪液質) ・消化器系の病変:胃内容の停滞、腹水、消化管狭窄・閉塞など ・治療によるもの:薬剤性(モルヒネ、抗がん剤など)、放射線治療、高カロリ−輸液など ・心因性:不安、うつ状態、対人関係など ・環境の不備:食習慣の変化、病室の環境 |
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(3)食欲不振に対する看護 | ①がんによる様々な身体症状のマネジメント ②食事の形態の工夫、タイミング ③体位の工夫 ④環境の調整 ⑤口腔内のトラブルへの対応 ⑥精神面でのケア ⑦家族への対応 |
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4)腹部膨満 ・腹部膨満の原因と治療、看護を理解する。 |
(1)腹部膨満の原因 | ・腫瘍の増大、腹水、腸閉塞、便秘、腸内ガスの貯留、消化管の穿孔 |
□腹部膨満のある患者の看護 が実践できる。 |
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(2)腹部膨満に対する治療 | ①腫瘍の増大に対しては自覚症状の緩和を目的に、ステロイド、抗不安薬の使用、増大による痛みに対してはオピオイドなどを使用する。 ②腸内ガスの貯留を軽減する(ジメチコンの使用、マッサ−ジ、温罨法) ③排便コントロ−ル |
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(3)腹部膨満感への看護 | ・腹部膨満感への軽減:安楽の体位の工夫(ベッドのギャッチアップやクッションの利用) 腹部温罨法や下半身浴(血行や腸蠕動の亢進) ・排便コントロ−ル ・精神的ケア ・日常生活の援助 |
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5)便秘と宿便 ・便秘と宿便の原因と治療、看護を理解する。 |
(1)便秘の定義 | ・便秘とは、排便回数が過度に少なくて過度に遅れること、または腸管に固い便が通過すること。 | □便秘・宿便のある患者の看護が実践できる。 | ||
(2)便秘・宿便の原因 | ・状況に関連した原因:人目が避けられない状態、不適切な体位 ・病状に関連した原因:体動の不足、身体的な脱力、食事摂取量の減少、脱水 ・がんに関連した原因:腸閉塞、自律神経の機能異常、高カルシウム血症 ・精神的な原因:抑うつ、錯乱、せん妄 ・治療に関連した原因:オピオイド、抗コリン作動薬、利尿剤 ・その他の原因:甲状腺機能低下症、直腸肛門部の痛みないしは不快感、痔瘻、痔核、下半身麻痺、全身衰弱に伴う消化機能の低下 |
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(3)便秘・宿便の治療 | ①オピオイドは開始時から便秘が起こり、緩下剤(酸化マグネシウムなど)と、大腸刺激性の下剤(センノシド、ピコスルファ−トナトリウムなど)を併用する。 ②必要時、浣腸・坐薬を併用する。 |
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(4)便秘・宿便に対する看護 | ①便を軟化させ、腸蠕動を促す食事の工夫をする ②腹圧を掛けやすい安楽な排便姿勢の工夫 ③薬剤の使用 ④摘便 ⑤浣腸 ⑥温罨法・腹部マッサ−ジ ⑦排便マネジメントの重要性を患者・家族に指導する |
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6)口腔内のトラブル ・終末期がん患者に起こりやすい口腔内のトラブルをとその対応を理解する。 |
(1)口腔内で起こりやすい トラブル |
・歯肉の発赤・腫脹とそれに伴う歯肉出血の痛み ・口内炎による粘膜の痛み ・冠・充填物の離脱、残根による噛みにくさ、尖った縁により唇、舌、頬を刺激し、傷つける痛み、有髄歯の痛み ・う蝕、歯周病のための歯根の露出による知覚過敏 ・しばらくはずしていない義歯が起こす粘膜の潰瘍と口臭 ・るい痩による義歯の不適合と咬合不全 ・義歯の破折 ・厚く付着した舌苔による味覚障害 ・ステロイドなどによる口腔内カンジダ症 ・口腔乾燥による自浄作用の不足、義歯の吸着不足 |
□口腔内のトラブルに対して適切なケアを実施できる。 | ||
(2)口腔内のトラブルへの 対応 |
・口腔・食道ガンジダ症:抗真菌剤(アムホテリシンBなど)の含嗽水、シロップ ・口内炎:消炎(アズレンスルホン酸Na、トラネキサム酸)、副腎皮質ステロイド(トリアムシノロンアセトニド、デキサメタゾン軟膏) ・鎮痛:局所麻酔(塩酸リドカイン) ・舌苔:2%重曹水、10倍希釈オキシド−ル ・口腔内乾燥:人工唾液、2%重曹水、レモン水、熱処理済みごま油 ・口臭:2%重曹水+ハッカ油 |
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(3)口腔内にトラブルがある患者への看護 | ①観察 ・潰瘍、出血、義歯のトラブル、う歯など部位、食物残渣、口腔内の湿潤、経口摂取状態、セルフケア状態 ・患者の自覚症状の有無(味覚異常、痛み、不快感など) ・口臭(血液臭、腐敗臭など) ②.口腔内のアセスメント ・どのような条件がトラブルを引き起こしているか検討し、ケアの方法を考える。 ③口腔内の状態に応じた口腔用剤の選択とケアの計画と実施 ④評価 |