(公財)ホスピス財団 メールマガジン「今月のお便り」 vol.28
今月のコラム
 
田村 恵子氏

京都大学大学院
医学研究科 教授
がん看護専門看護師
ホスピス財団事業委員
ともいき京都代表
田村 恵子
  ともいき京都
 私が看護師として初めて勤務したのは消化器系の病気が多い内科病棟でした。このときから私のがんを病む人たちと向き合う体験が始まりました。その当時「がん」という病名は伝えられることはほとんどなく、患者は疑念や苛立ち・怒りを胸に秘めて入院生活を送っていました。肝臓がんを病むKさんもその一人でした。そのような折り、Kさんの家族から病名告知の申し入れがありましたが、主治医が承諾せず、Kさんは新設されたホスピスへ転院されました。しばらくしてホスピス入院中のKさんを見舞ったところ、Kさんはそれまでとは別人のように穏やかな表情で「みんなよくしてくれる。ありがたい」と何度も感謝の気持ちを語られました。こんなに短時間でKさんを変化させたホスピスの力に圧倒されつつも深い関心を抱き、数年後にはホスピスの扉を叩くことになりました。
 あれから25年余りの月日が経過しました。目覚ましいがん治療の進歩により、多くのがん体験者が地域社会で生活する時代となりました。しかし一方では、約4割が再発・転移など再び治療が必要な状態であることも否めません。抗ガン治療の効果が期待できない病期になると、医師より「これ以上の治療の手立てはありません。これからどうされますか?」と尋ねられ、ガイドラインに基づく選択からガイドラインなど存在しない「あなたはどう生きるのか/行きたいのか」と言う生き方の選択を迫られることになります。患者は自分の置かれている状況に気づきながらも直視できず、「なぜ私なのか」「迷惑をかけてばかりだ、早く死にたい」などの言葉を周りに向け続けます。人生の最終章に向かってこうした言葉を発さずにはいられない患者の苦悩はいかばかりでしょうか。患者の呻きを聞くたびに、がんと共に生きるために必要なことは、単に苦痛を和らげたり選択できたりすることではなく、がんと共にどう生きていくかについて考える力であると身をもって感じてきました。そのためには、がん体験者ががんと診断された時に身に付けた生きる力を見つめ直して、さらに育んでいくことが必要だと思ってきました。
 2015年7月10日より、多くの仲間の熱い思いとそこに集うがん体験者の秘めた力を対話によって結集して、生きる力を育み支え合うコミュニティを創りたいと願って『ともいき京都』の活動を始めました。『ともいき京都』がここで根づいていきますように、多くの方のご支援・ご協力をよろしくお願い申し上げます。

「ともいき京都リーフレット(2016.3)より転載」
 
頁トップへ
ともいき京都1周年記念イベントが開催されました
 
 7月9日(土)京都・河原町カトリック教会で、ともいき京都1周年記念イベントが開催され、 300名に近い参加がありました。司会を石田ひかりさんがされ、がん体験者の話しや音楽演奏、また 石田ひかりさんの詩朗読もあり、がんと闘いながらも前向きに生きたおられる方々の姿に、参加者は 共感と感動をあたえらえた素晴らしい集会となりました。
 ともいき京都の活動はホームページをご覧ください。→ http://tomoiki-kyoto.net/index.html
 
ともいき京都1周年記念イベントの様子その1   ともいき京都1周年記念イベントの様子その2   ともいき京都1周年記念イベントの様子その3
 
頁トップへ
ホスピス・緩和ケアボランティア研修会が開催されました
 
 
■ 日 時:2016年7月21日(木)11:00~16:00
■ 会 場:霞が関医療センター 地域医療研修センター講堂
■ テーマ:あらためて知りたいホスピスボランティアのこと
      講師:高宮有介氏(昭和大学医学部医学教育推進室)
         田村聡子氏(一般社団法人WITH医療福祉実践研究所)
■ 参加者:57名
     *研修会の内容(報告書)は後日、ホームページで掲載いたします。
 
ホスピス・緩和ケアボランティア研修会の様子-1   ホスピス・緩和ケアボランティア研修会の様子-2
 
頁トップへ
『新たな全人的ケア・・医療と教育のパラダイムシフト』 好評発売中
 
新たな全人的ケアの表紙  
 「Whole Person Care:A New Paradigm for 21Century」(Springer 社 2011年)の日本語訳として『新たな全人的ケア:医療と教育のパラダイムシフト』を青海社より全国で発売中です。
 Whole Person Careとはカナダ、マギル大学医学部で開発された、新しいケアの概念であり、従来の考え方を根本的に変えるアプローチです。
 是非、ご一読ください。
 
詳細をみる
 
 
頁トップへ
Hutchinson 教授による『『新たな全人的ケア』 出版記念講演会
 
Hutchinson 教授による『新たな全人的ケア』出版記念講演会のご案内のチラシ    『新たな全人的ケア・・医療と教育のパラダイムシフト』の出版を記念してカナダのマギル大学のWhole Person Care プログラム責任者である Tom A Hutchinson 教授を招き Whole Person Care への理解を深めるための講演会を開催いたします。

【大阪会場】
 2016年11月26日(土)13時から17時
 千里ライフサイエンスセンター

【東京会場】
 2016年11月27日(日)13時から17時
 大手町ファーストスクエアカンファレンス

・逐次通訳あり
・参加費 無料
・定員 200名
 
詳細をみる
頁トップへ
Ellershaw 教授による講演会&シンポジウムのご案内
 
Ellershaw 教授による講演会&シンポジウムのチラシ  
 この度、ホスピス財団は設立15周年記念行事の一環として、Liverpool Care Pathwayを開発された英国リバプール大学のEllershaw 教授をお招きし、講演会&シンポジウムを、第40回日本死の臨床研究会年次大会(札幌)に合わせて開催いたします。皆様のご参加をお待ちいたします。

■ 日 時:2016年10月7日(金)13:30~17:30
■ 会 場:札幌コンベンションセンター 中ホール
■ 講 演:死にゆく患者のケアをいかに改善させるか(同時通訳付)
■ 対 象:医療関係者
■ 参加費:無料
■ 定 員:300名(事前申し込み制:先着順)
 
詳細をみる
 
頁トップへ
第9回 Whole Person Careワークショップのご案内 好評受付中
 
第9回 Whole Person Care ワークショップのチラシ  
 好評のWhole Person Careワークショップが2016年8月27日(土)に大阪で開催されます。
 多数のご参加をお待ちいたします。(第1回~9回は同じ内容です)
 
詳細をみる
 
頁トップへ
J-HOPE3が刊行されました
 
ホスピス財団ニュース30号の表紙  
 世界的にも高く評価されている「遺族によるホスピス・緩和ケアの質の評価に関する研究3」 (J-HOPE3)が刊行されました。
 
詳細をみる
 
頁トップへ
ホスピス・緩和ケア白書2016が発売中です
 
ホスピス緩和ケア白書2016の表紙  
 緩和ケアにおける緩和デイケア・がん患者サロン・デイホスピス」を特集テーマにホスピス緩和ケア白書2016が完成いたしました。
 
詳細をみる
 
頁トップへ
ホスピス財団ニュース 30号(2016年4月)が発行されました
 
ホスピス財団ニュース30号の表紙  
 ホスピス財団の活動を紹介した機関紙「ホスピス財団ニュース」30号が発行されましたので是非ご覧ください 。
 
詳細をみる
 
頁トップへ
『旅立ちのとき・・寄りそうあなたへのガイドブック・・』が発行されました。
 
旅立ちのときの表紙  
 旧『旅立ち』が絶版となり、多方面から再販の要望が多く寄せられていましたが、今般 『旅立ちのとき・・寄りそうあなたへのガイドブック』が新しく制作され、出版の運びとなりました。本冊子が、旧版同様、多くの人に読まれ、死という現実に目をそむけず、死を受け入れる一助になり、人生の最後に寄りそう方々に用いられることを願っております。
  ホームページでも閲覧可能ですが、ご希望の方には1冊200円(送料込)で送付いたします。
 
詳細をみる
 
頁トップへ
個人賛助会費と一般寄附が、オンライン(クレジット決済)でも支払いが出来るようになりました
 
決済サービスのwebページの一部    ホスピス財団では、新しく CANPAN決済システムを導入し、ご自宅のパソコンを使用して賛助会費(個人)と一般寄附の支払いが可能になりました。郵便局や銀行へ出向く必要がなく手軽に利用できますので、是非、ご活用ください。詳細はホームページを参照してください。
 
詳細をみる
頁トップへ
情報コーナー
ホスピス・緩和ケアに関する新聞記事の紹介
 
・「救急車を呼ぶということは、あらゆる手段を使って救命する『スイッチ』を押すということ。だが、その意味を理解している家族は少ない」高齢者の救急搬送が増えているが、救命か看取りかという複雑な問題を抱えていることを紹介した「救急と看取り」をテーマにした連載記事
(読売新聞 2016/7/17,24 掲載)

・2016年は新たながん患者が100人を超えると予想されることを、国立がん研究センターが発表したことを紹介した記事
(読売新聞 2016/7/15 掲載)

・NPO法人「HOPEプロジェクト」が患者を看取った遺族200人に調査を実施し、その結果の概要を紹介した記事。詳細は以下のアドレスで閲覧可能 
http://kibou.jp/images/20160114L.pdf
(読売新聞 2016/7/11 夕刊掲載)

・ドクター元ちゃん がんになる。金沢赤十字病院副院長の西村 元一医師が、自らのがん体験を綴った連載記事 3回目 “やり直しきかない治療”
(毎日新聞 2016/7/10 掲載)

・高齢者介護施設が抱える、さまざまな問題点を具体的な事例で取り上げた“長寿リスク社会”特集記事
(毎日新聞 2016/7/6~8 3回連載)

・渡辺和子さんが、自らの苦悩の多かった人生を顧みて、苦しみの意味について語られた示唆に富むコラム
(読売新聞 2016/7/3 掲載)

・東大寺の狭川宗玄長老(95歳)が仏教者として。「生きること」と「死ぬこと」について自らの人生を顧みて語った記事
(毎日新聞 2016/6/22 夕刊掲載)

・医療ルネッサンスシリーズ「患者学・・・調べる」
ガンや難病などの情報は、たくさんあるが、どの情報が正しいのか、またどの様にすれば情報を入手できるかなど患者、家族にとって難しい課題に対して情報提供している人たちを紹介した記事
(読売新聞 2016/6/20~24 5回連載)

詳細をみる
頁トップへ
■このメールマガジンは、ホスピス財団の賛助会員をはじめ、ホスピス・緩和ケア医療従事者の皆様にお送りしております。また、お知り合いの方々にも転送していただけると幸いです
個人情報の取り扱いについて
■メールマガジンの受信の停止は、こちら からお願いします。
発行:ホスピス財団(公益財団法人 日本ホスピス・緩和ケア研究振興財団)
〒530-0013 大阪市北区茶屋町2-30
TEL:06-6375-7255 FAX:06-6375-7245
mail:hospat@gol.com URL:https://www.hospat.org/
Copyright(c)2014 Japan Hospice Palliative Care Foundation All Rights Reserved.