今月のコラム |
藤川鍼灸院 院長
森ノ宮医療大学 森ノ宮医療専門学校 兼任講師 藤川 直孝
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鍼灸に魅せられて 2
阪神淡路大震災の年、大阪府鍼灸師会では ボランティアを募り、被災された方々の鍼灸治療に参りました。御影公会堂、元気村、御影工業高校を夫々、分担しましたが、私は公会堂を担当しました。天井が高い為、暖房効果が良くなく、皆さん風邪を引いておられました。そこで、喜ばれたのが温熱治療でした。 会場ではモグサや線香など火を使えませんのでK.Kせんねん灸から提供して頂いた、皮膚に直接貼り付ける商品名「太陽」を施術しました。これが、功を奏し、風邪の諸症状の緩和に役立ち喜んで頂けました。 温熱療法である灸治療は血行を促進させたり免疫系に作用し、免疫を高めることは古くから知られています。私自身、手三里、合谷、 足三里に3日間、灸をすえて血液検査をしましたら、リンパ球の一つである単球が明らかに増加していました。この単球は肺、肝臓に入りマクロファージに分化しますが、細菌や異物を取り込み清掃してくれます。つまり、免疫力が高まるというわけです。俳人松尾芭蕉が「奥の細道」の中で足の三里に灸をすえて旅を続けたとの一節があります。 足の三里の灸は古くから伝えられている保健長寿の灸です。ヘルペス(帯状疱疹)後の神経痛は大変な痛みで、夜も眠れないほどのものですが、S・ Mさんは乳癌で手術をされ、入院中肋間神経にヘルペスを発症されました。余りの痛みで病院を抜け出して、当院に来られました。 背中の脊柱近く、数カ所に圧痛点を見つけ灸をすえましたら、その夜は痛みもなくぐっすり眠れたと報告を受けました。残念ながら、 癌の転移があり、他界されました。 次に腰痛ですが、これも鍼灸院に来院される多数を占める疾患ですが、圧迫骨折、腰部脊柱管狭窄症、変形性腰椎症、腰椎椎間板ヘルニア、癌の腰椎への転移など原因のはっきりしている腰痛は腰痛全体の15%程度で殆どが、原因不明の非特異的腰痛と言われるものです。 私も原因不明の腰痛になり、ロキソニン(鎮痛剤)を服用しないと、大学の講義もままならない状況でした。ベテランの先生方のハリ 治療を受けましたが、一向に良くなりません。そこで、考えたのが、今まで習った手技、手法を消去法で試すことにしました。その中にフランスの整形外科医P・ノジェ氏の耳介療法(耳つぼ療法)があり試してみましたら、腰痛は翌日から無くなり、驚きました。 腰痛を発症したのが、大学の講義が始まった頃で、初めての授業で試行錯誤しており、プレッシャーを感じていました。痛みは右側骨盤の上、腸骨稜辺りで、腰方形筋に波動性の痛みがあり、この腰方形筋の痛みは精神的ストレスと密接な関係があると、後で知りました。痛むところにハリを刺すのでなくて、耳の腰痛ポイントに1ミリ程の円皮針をテープで留めるだけの治療です。病院に勤務していた頃、外科医から胃潰瘍で腹部正中切開後の手術創の痛みは東洋医学で 何とかならないかと相談を受けました、病室に出向いて足首にある左右に痛みを与えずにハリを刺入しましたら、当日夜は痛み無く眠れて、患者さんから喜ばれました。これは手根・足根針(腕踝針)という手法で、痛みを全く与えない手技で皮下に3センチ刺入します。チーム医療の一躍を担えることが出来、これが私の喜びであります。 以下の書籍を参考にして頂ければありがたいです。 「鍼灸の挑戦」松田博公著 岩波新書 「閃く経絡」ダニエル・キーオン著 医道の日本社 刊 |
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新 Whole Person Care ワークショップが開催されます | |||
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第8回 Whole Person Care 研究会が開催されます | |||
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「ホスピス緩和ケア白書2023」が完成いたしました | |||||
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「ホスピス・緩和ケアに関する意識調査2023年」が発行されました | |||||
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ホスピス財団ニュース44号が発行されました | |||||
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映画『明日香に生きる』のご案内 | |||
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『Whole Person Care 教育編』が好評発売中です | |||
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ホスピス・緩和ケアに関する新聞記事の紹介 |
(記事のコピー等をご希望の方はホスピス財団事務局へご連絡ください。) |
・肺がんから復帰の厚生技官 厚労省の労働衛生審議官の丹藤氏は、40代で進行肺がんでステージ4と診断され、一時は絶望したが新治療法に挑戦して、仕事復帰ができたことを紹介した記事。がん対策の柱は予防と医療の充実、がんとの共生と語る。 (毎日新聞 2023/05/11 夕刊掲載) |
・Dr.中川のがんのヒミツ がんに関する必要最小限の知識をまとめた64ページの小冊子「大人も子どももがんを知る本」(朝日出版社)を制作した、中川恵一医師のコラム。 (毎日新聞 2023/05/01 掲載) 「大人も子どももがんを知る本」(朝日出版社)の詳細はこちら https://www.asahipress.com/special/ganwoshiru/ |
・医療ルネサンス がんと私Ⅱ 「命をみつめて」 3回シリーズ 肺がんステージ4と診断された49歳の女性の体験を取材した記事。分子標的治療薬の効果もあり、再就職したが、分子標的治療薬が効かなくなり、治験に応募したが、副作用が強く、葛藤の末、治療を断念。しかし、同じ境遇の人との交流や、がんサロン活動などで「しあわせ」は考え方次第と思えるようになった。「限られた命、大切なことを大切にして生きたい」と語る。 (読売新聞 2023/04/21、24、25 連載) |
・ケアする側の支援も必要 一般社団法人「日本終末期ケア協会」(神戸市)の代表、岩谷真意氏を取材した記事。 終末期医療ケアに従事する方々が基礎から学べる場作り、サポートをしたいとの思いで協会を設立された。「終末期ケア専門士」という協会認定の資格を作り、約7000名が資格を取得しているとのこと。 またアドバンス・ケア・プランニングや、いざその時が来たらこう考えるかもしれないという“推定の意思」が大切とのこと。最後にケアする側の余裕が必要であると語られている。 (毎日新聞 2023/04/07 掲載) 「日本終末期ケア協会」 https://jtca2020.or.jp/ |
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