(公財)ホスピス財団 メールマガジン「ホスピス財団便り」 vol.4
 
 新型コロナウイルスに罹患された方々、またコロナ禍により生活面等で困難な中におられる方々へ、 心よりお見舞い申し上げます。
 また感染症対策に尽力いただいている保健、医療従事者の方々へ心より感謝申し上げます。
ホスピス財団 理事長 柏木 哲夫
 
新型コロナウィルスへの対応について
 
今月のコラム

前野 宏 氏
札幌南徳洲会病院 総長
前野 宏
  Science and Art
 1996年7月、札幌市で開催された第1回日本緩和医療学会の大会長講演で、柏木哲夫先生は札幌農学校出身で国際的な聖書学者になった内村鑑三の言葉「二つのJ(Japan and Jesus)」を引用し、「真理は円ではなく楕円です。真理には二つの中心があるのです。緩和医療学会は二つの真理を追い求めなければなりません。それは”Science and Art”です。」とおっしゃいました。「そしてこの二つのバランスが大切なのです。」ともおっしゃいました。ホスピス・緩和ケアはScienceに基づくevidenceに寄らなければ医学あるいは医療の中に定着することはできないことは言うまでもありませんが、もう一方でこの分野は”Art”、この場合は「技」とでも訳したら良いのでしょうか。人間的な要素が等しく重要なのでそれを忘れないように、というのが柏木先生のメッセージであったと思います。
 さて、「近代ホスピスの母」であるDame Cicely Saunders先生は近代ホスピスの第1号であるSt Christopher’s Hospiceを創るきっかけになった彼女の最初の恋人、ポーランド人 David Tasma の言葉 ”I only want what is in your mind and heart.” をたびたび引用します。”mind and heart” とは「考え方とこころ」とでも訳せるでしょうか。これは柏木先生の”Science and Art”に相当すると思います。偉大な先人は同じようなことを仰るのですね。
 1973年、淀川キリスト教病院で柏木先生が終末期患者のケアを多職種で行うケアを始めたのが我が国のホスピスケアのスタートと言われていますが、来年2023年は50周年に当たります。我が国のホスピス緩和ケアはこの半世紀の間で発展、普及しましたが、ともするとScienceに傾き、Artの部分が希薄になってきていると感じております。
 札幌南徳洲会病院は私が院長になりました2001年に「ホスピスのこころを大切にする病院」という理念を掲げました。「ホスピスのこころ」は柏木先生から教えて頂いたホスピスの原点、哲学であります。そして、2021年に20年間大切に育て上げてきた「ホスピスのこころ」の集大成とも言うべき新病院が完成しました。新築移転記念講演は柏木先生に御講演頂きました。微力ではありますが、これからも原点であります「ホスピスのこころ」を深め、広める働きをしてゆきたいと考えております。

   
札幌南徳洲会新病院の写真
札幌南徳洲会新病院
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ホスピス財団主催・協賛の研修会、セミナー、出版等のご案内
日本のホスピス50周年記念シリーズ講演会 第4回のご案内
 
 
日本のホスピス50周年記念シリーズ講演会 第4回のチラシ   日本のホスピス 50 周年記念シリーズ講演会『ホスピスのこころの医療(HOSPICE MINDED MEDICINE)』 第4回が開催されます。

■ 日 時:2022年12月3日(土)14:00~16:00
■ 場 所:ZOOM による オンライン配信
■ 講 師:志真 泰夫
     「ホスピス緩和ケア ”5つのエッセンス”
         —そして、自力の精神、利他の心—」

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第6回 Whole Person Care 研究会のご案内
 
 
第6回 Whole Person Care 研究会のチラシ   「医療における”癒し”とレジリエンス」をテーマにオンラインセミナーを開催いたします。

■ 日 時:2022年11月19日(土)13:30~16:30
■ 場 所:Web開催(ZOOMシステム)

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第8回 WPC 読書会のご案内
 
 
『Whole Person Care教育編』の表紙   ■ 日 時:11月11日(金) 19:00~20:30(オンライン)
■ 内 容:
『WPC教育編:マインドフルネスにある深い気づきと臨床的調和』の「第3章 講義」注意力と深い気づき」と 「第4章 講義2:コミュニケーションにおける調和のとれた態度」の読書会です。

申込フォーム:https://forms.gle/rTRukrivhEowoXPV8
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ホスピス財団第5回国際セミナーが開催されました
 
 
ホスピス財団第5回国際セミナーのチラシ   「マインドフルネスにある深い気づきと臨床的調和」をテーマに、
 9月17日(土)にカナダの McGill 大学医学部の Liben 教授をお迎して、第5回 国際オンラインセミナーが開催されました。

講演はオンデマンドで配信中
https://www.hospat.org/program_online_semi.html
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『Whole Person Care 教育編』が好評発売中です
 
 
『Whole Person Care教育編』の表紙    2016年度に出版した『新たな全人的ケア』(Whole Person Care日本語版)、および2020年度に出版した『Whole Person Care 実践編』(Whole Person Care: Transforming Healthcare 日本語版)に続き、その教育編として『Whole Person Care教育編』(MD-Aware 日本語版)が発売されました。

■ 訳 者:土屋静馬氏、三好智子氏
■ 監 訳:恒藤 暁氏 
■ 出版元:三輪書店
■ 発 売:ホスピス財団
■ 売 価:2000円(税別)


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ホスピス財団ニュース43号が発行されました
 
 
ホスピス財団ニュース43号の表紙    ホスピス財団 第5回国際セミナー 他、財団関連のニュースが掲載された43号が発行されました。


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2023年度調査・研究助成の公募を以下の通り案内いたします(締め切りは11月30日です)
 
 
【趣 旨】
 本財団は、ホスピス・緩和ケアの質の向上と発展に貢献することを目的として2000年12月に設立され、ホスピス・緩和ケアに関する調査・研究、人材育成、普及・啓発および国際交流等の事業を展開しています。今回、2023年度の調査・研究を下記の要領で募集いたします。

【助成課題】
 ホスピス・緩和ケアに関する質の高い多施設共同研究事業、特に緩和ケアの質の向上に関する臨床に有益な研究を歓迎いたします。

【研究体制】
 多施設の共同研究を原則といたします(代表研究者を決めて下さい)

【助成金額】
 1件あたり50~150万円(数件)

【対象者】
 助成課題に意欲的に取り組んでいる研究者

【助成期間】
 2023年4月1日より2024年2月21日まで

【申請期限】
 2022年11月30日必着

【連絡先】
 ホスピス財団

 ※ 募集要項及び申請書類は事務局までお申し出ください。
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情報コーナー
 
ホスピス・緩和ケアに関する新聞記事の紹介
 (記事のコピー等をご希望の方はホスピス財団事務局へご連絡ください。)
 
・家族にもケアが必要 ・・・滝野隆治の掃苔記
がん患者の家族、遺族のケアについて取材した記事。二つの学会が協力してガイドラインを本にした。 専門家の大西秀樹教授(埼玉医科大学)への取材では「『遺族』もだけど『家族のケアも大事』と発言されている。
(毎日新聞 2022/10/23 掲載)

遺族ケアガイドライン
https://www.kanehara-shuppan.co.jp/books/detail.html?isbn=9784307102179

・医療ルネッサンス「子どもホスピス」 5回シリーズ
子どもホスピスの現状を「横浜子どもホスピス うみと空のおうち」と大阪市の「TURUMI子どもホスピス」の2施設の取材を通して紹介した記事。難病で苦しむ子どもたちに家族と一緒に楽しむ喜びを与えている。運営はすべて寄付で賄っている。
(読売新聞 2022/10/07〜14 連載)

横浜子どもホスピス:https://childrenshospice.yokohama/index.html
TURUMI子どもホスピス:https://www.childrenshospice.jp/

・がんと闘う心の構造
県立静岡がんセンター総長、山口 建医師が、がんとの闘いの中で「魂」のもと「知性・理性」「感情」「意志」が協働することで困難を克服することができるというユニークな手段を紹介した記事。
(毎日新聞 2022/09/08 掲載)

・緩和ケア、早期に受けていれば ・・・在宅ケア体験記
2016年に母親をがんで亡くした娘が、当時はそれほど一般的ではなかった緩和ケアを躊躇したために後悔していることを取材した記事。緩和ケア=末期という暗いイメージkがあり、母親に薦められなかったとの言葉が印象深い。
(毎日新聞 2022/09/01 掲載)

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■このメールマガジンは、ホスピス財団の賛助会員をはじめ、ホスピス・緩和ケア医療従事者の皆様にお送りしております。また、お知り合いの方々にも転送していただけると幸いです
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発行:ホスピス財団(公益財団法人 日本ホスピス・緩和ケア研究振興財団)
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