今月のコラム |
聖学院大学大学院 教授 ホスピス財団 評議員 窪寺 俊之 |
人生を肯定する場でありたい 淀川キリスト教病院がホスピスを開設した1984年から数えて30年になる。先日、記念式典がありこれまでの働きに感謝がささげられ、今後の発展が祈願された。私がチャプレンとしてお世話になったのが1985年であった。開設二年目であったから創成期の模索と熱気が溢れていた。医師、看護師、理学療法士、ソーシャルワーカー、チャプレン、ボランティアが新しい働きに仕える喜びと誇りがあった。そこには、元院長白方誠彌先生や元ホスピス長柏木哲夫先生の並々ならない祈りと愛の業があった。 1987年頃だったと思うが、当時ホスピスを陰で支えていた故宮嶋泰夫氏を中心にアメリカのホスピスの見学旅行が企画された。幾つものホスピスを見て回ったが、その一つにノース・バージニアのホスピスがあった。緑に包まれた住宅街にあるこじんまりしたホスピスで地域密着型の先駆的ホスピスであった。施設も人も暖かさと優しさに満ちていて患者と家族の普段の生活を第1にする在り方を見て教えられた。 ホスピスの見学後、予想外の出来事が起きた。ホテルに戻る貸し切りバスが来ない。事務所に連絡を入れても、不誠実な対応で腹を立てるだけだった。困り果てていた時、ホスピスに一台のタクシーが入って来た。 タクシー運転手の妻がホスピスの食事を担当しているので送ってきたのだという。運転手に頼み込んでホテルまで送ってもらった。ベトナムの難民で戦渦の祖国を小さなボートで逃げたという。将来は大学で法律を学んで弁護士になることを夢見ていたという。夢は破綻して、タクシーの運転手として家族を養い育てているという。言葉に出来ない辛いことがあったに違いない。私は運転手に尋ねた。「もしもかなうなら、将来何をしたいのか」と。そのベトナム人は言った。「子供達を連れて、生まれた故郷に帰りたい」と。 人生は旅に喩えられることが多い。その旅は、国の政治や経済や歴史に翻弄され、人生が押しつぶされることもある。普通の人には、政治を変える力もない。小さな願いは、家族を守り、自分の納得できる人生を送ることである。そしていつか自分の故郷に戻るのが夢である。 現在、ホスピス・緩和ケア病棟が全国に300施設できた。そこが人生の締めくくりの場であるだけに責任は重い。残された時間を自分らしく生き、生まれてきてよかったと実感できる場所であって欲しい。 |
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「ホスピス・緩和ケアフォーラム2015」協力医療機関 募集のご案内 (締切が近づきました。) |
「ホスピス・緩和ケアフォーラム」は、医療従事者のみならず市民の方々にもホスピス・緩和ケアへのご理解を深めて戴く目的で、本財団が主催し、毎年全国各地で開催しております。 本財団は2015年度ホスピス・緩和ケアフォーラム開催の協力医療機関を下記の要領で募集いたします。 (詳細はホームページを参照して下さい) 記
「ホスピス・緩和ケアフォーラム2015」開催実施要領 ■実施時期: 2015年4月~2016年1月 ■プログラム:会場の選定、講師の選択等の具体的プログラムは、当財団と相談のうえ決定します(過去の実施例は、こちらから)→http://www.hospat.org/458.html ■助成金額:100万円(講師謝金、旅費交通費、会場賃借料、印刷費等すべての経費を含む) ■募集期限:2015年1月19日(月)必着 |
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第6回グリーフ&ビリーブメント カンファレンス |
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2014年度 ホスピス・緩和ケアボランティア研修会の開催記録が出来上がりました。 |
2014年度は、神戸会場と松山会場の2回の開催となりました。開催記録はホームページに掲載いたしました。 |
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2014年度 ソーシャルワーカーのスキルアップセミナー in 京都 開催報告書 |
ソーシャルワーカーのスキルアップセミナー in 京都 の開催報告書が出来上がり ホームページに掲載いたしました。 |
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ホスピス財団ニュース 27号が発行されました |
ホスピス財団の活動内容や、ホスピス・緩和ケアに関する情報などが掲載されています。是非ご一読ください。 ホームページでご覧いただけますが、ご希望の方には無料で送付いたしますので、ホスピス財団へE-MAILで、送付先、必要部数を明記してお申し込みください。 |
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ホスピス財団の新パンフレットが完成しました |
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個人賛助会費と一般寄附が、オンライン(クレジット決済)でも支払いが出来るようになりました | ||||
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その他のニュース |
ホスピス・緩和ケアに関する新聞記事の紹介 |
・関西各地で「がん哲学外来、メディカ・カフェ」が開催されていることを紹介した記事
(毎日新聞 2014/12/22 掲載) |
・小児がん治療歴登録制が、拠点病院で検討が開始されたことを紹介した記事
(毎日新聞 2014/12/21 掲載) |
・阪神大震災で母親を亡くした中学生が医師になり、仕事に情熱を注いでいることを紹介した記事
(毎日新聞 2014/12/20 掲載) |
・今年の9月に亡くなった、「NPO法人 阪神高齢者・障害者ネットワーク」理事長、黒田裕子さんの働きを紹介した、5回連載記事
(読売新聞 2014/12/16~20<夕刊> 掲載) |
・衆院選が終わり、新政権へ介護と医療分野での注文を紹介した記事で、ホームホスピスのような看取りの場が必要であると紹介されている
(読売新聞 2014/12/16<夕刊> 掲載) |
・おいしい病院食の提供に取り組んでいる病院を紹介した記事。刀根山病院と国循が紹介された (読売新聞 2014/12/14 掲載) |
・尊厳死に関して、家族で語り合うことが大切であることを紹介した、漫画入りのユニークな記事 (毎日新聞 2014/12/10 掲載) |
・「葬式仏教」にも大切な意味があることなどが記された「仏教の事典」編者、末木文美士さんのインタビュー記事 (読売新聞 2014/12/2<夕刊> 掲載) |
・免疫を利用した新しいタイプのがん治療薬を紹介した記事 (読売新聞 2014/11/13<夕刊> 掲載) |
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