(公財)ホスピス財団 メールマガジン「今月のお便り」 vol.74
 
 新型コロナウイルスに罹患された方々、またコロナ禍により生活面等で困難な中におられる方々へ、 心よりお見舞い申し上げます。
 また感染症対策に尽力いただいている保健、医療従事者の方々へ心より感謝申し上げます。
ホスピス財団 理事長 柏木 哲夫
 
新型コロナウィルスへの対応について
 
今月のコラム

革島 定雄氏
革島病院 副院長
革島 定雄
  『モモ』が教えてくれること

 ミヒャエル・エンデの小説『モモ』を読んだことがありますか? 映画は見ましたか? 『モモ』の映画の実写版は1986年に、アニメ版は2001年に封切られました。私は実写版が封切られてすぐ映画館に観に行きました。とてもいい映画でしたがすっかり忘れていました。ところが、最近百田氏の近著『百田尚樹の新・相対性理論』を購入してさっと目を通したところで、すぐに『モモ』の奥深さにあらためて気づき、失礼ながら百田氏の本を傍(わき)に退(ど)けて、『モモ』の電子書籍版をダウンロード購入してすぐ一気に読みきりました。そして映画を鑑賞した時の感動を思い出し、すぐに「映画もまた観たいな」と思いVOD(ビデオオンデマンド)数社のサイトで早速探してみましたが、不思議なことにこの作品に限り、どの会社においても現在鑑賞できなくなっているのです。『モモ』の内容がグローバリズム批判を含んでいるために、ビッグテックのようなグローバル企業がその提供を拒んでいるのではないかと勘ぐってしまいます。しかし幸い、少し値は張りましたが、あるネット通販サイトを通じて実写版『モモ』の中古DVDを入手することができました。ちなみにアニメ版は完全に市場から消えているようです。
 モモが住みついた古い円形劇場跡の近所の大人や子供達がモモを大好きになった理由は、モモが誰の話にも熱心に耳を傾けてくれたからでした。不思議なことに、モモに話を聞いてもらうとどんな問題も自然に解決してしまいます。また子供たちの遊びにもモモはすぐに溶け込み、モモが参加すると遊びがいっそう楽しくなるのです。
 エンデは、物質主義(唯物論)に基づく物理理論であるアインシュタインの相対性理論、特にその時間観には極めて懐疑的でした。そして同じく物質主義に基づいた経済理論である資本主義や共産主義にも批判の目を向けます。そもそもすべての価値をお金に換算してしまうような思想に、彼は決して与(くみ)しないのです。エンデの死生観、世界観を体現している存在こそがモモであると言えましょう。「人間死んだら終わり」とみなすような物質主義の死生観では、ホスピス医療、終末期医療に従事し続けることは困難です。モモのように、相手の言葉をよく聞き表情を感じ取り、共感をもって寄り添っていくことができれば、互いに幸せに満ちた素敵な看取りとなることでしょう。
     
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ホスピス財団主催・協賛の研修会、セミナーのご案内
第3回 日本 Whole Person Care 研究会が開催されます
 
 
第3回 日本 Whole Person Care 研究会のチラシ    第3回日本 Whole Person Care 研究会が
2021年3月13日(土)午後(13:30~17:00)に開催されます。
皆様のご参加をお待ちいたします。
 
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オンライン読書会が開催されました
 
 
 日本 Whole Person Care 研究会主催の第1回読書会が、2月12日(金)に開催されました。

■日時:2月12日(金)19:00〜20:30
■課題図書:
 「Whole Person Care 実践編ー医療AI時代に心を調え, 心を開き, 心を込める」1~3章

当日は約40名の参加がありました。オリエンテーションの後、7,8名のグループに分かれて
自己紹介と本を読んでの感想や、日頃の苦労や悩みなども語りあい、とても寛いだ雰囲気の中で 有意義な時となりました。

次回の予定;第2回読書会 5月14日(金)19:00〜20:30 オンライン(ZOOM)にて
課題図書の4章-6章
申込方法は後日に案内いたします。
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お知らせのコーナー
『 Whole Person Care 実践編 』 ー医療 AI 時代に心を調え、心を開き、心を込めるー が好評発売中です
 
 
『 Whole Person Care 実践編 』の表紙    本書は Whole Person Careに関するホスピス財団発行が発行する2冊目として、既刊『新たな全人的ケア・・医療と教育のパラダイムシフト』に続いて、6月より三輪書店より全国で発売されています。
医療に携わる方々を始め、医学生、看護学生の皆様、ホスピス緩和ケアに関心のある方々、 是非ご一読ください。

 
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J-HOPE4が発行されました
 
 
J-HOPE 4 の表紙    世界的に質の高い研究として国際的にも評価されている調査・研究が、この度 J-HOPE 4 としてまとめられました。
 今回は付帯研究が50題と充実していますので、是非ご覧ください。
ホームページでも公開しておりますが、ご希望の方には 1000 円で頒布いたします。(ホスピス財団賛助会員には無料で送付しております)

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『新たな全人的ケア・・医療と教育のパラダイムシフト』好評発売中
 
新たな全人的ケアの表紙  
 「Whole Person Care:A New Paradigm for 21Century」(Springer 社 2011年)の日本語訳として『新たな全人的ケア:医療と教育のパラダイムシフト』を青海社より全国で発売中です。
 Whole Person Care とはカナダ、マギル大学医学部で開発された、新しいケアの概念であり、従来の考え方を根本的に変えるアプローチです。
 是非、ご一読ください。
 
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情報コーナー
情報コーナー
ホスピス・緩和ケアに関する新聞記事の紹介
 
・認知症介護は贈り物
認知症の母と介護する父の姿を映像作家の信友直子さんがドキュメンタリー映画として上映されて いる。同名著書も重版が続いているとのこと。介護はマイナス面が強調されがちであるが、信友氏 は、それだけではなく、介護によって家族の絆を結びなおすこともできるなど、プラス面もあるこ とを伝えたいとのこと。今、介護の真っ最中の方や、これから介護をしなければならない方々への 励ましのメッセージになる記事。
(毎日新聞 2021/02/24 夕刊掲載)

・患者の最期どう寄り添う
在宅医療に取り組んでいる長尾和宏医師に密着したドキュメンタリー映画が上映されていることを 紹介した記事。なんばパークシネマで公開中/ 3月20日から十三第7芸術劇場でも公開予定。
(毎日新聞大阪版 2021/02/14 掲載)

・がんへの勘違いをなくす
がんの「標準医療」は、”並、普通”と思われ、もっと優れた治療法があるのではという誤解が多い。しかし、「標準医療」とは最新医療であることを分かりやすく解説した記事。また「緩和治療」を終末期と理解されている人が多いが、今は治療開始と同時に緩和を行い、治療生活のQOLを高めるために用いるのが主流であると解説されている。
(毎日新聞 2021/01/28 夕刊掲載)

 
 
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