(公財)ホスピス財団 メールマガジン「今月のお便り」 vol.70
 
 新型コロナウイルスに罹患された方々や、今夏の水害により生活面等で困難な中におられる方々へ、
心よりお見舞い申し上げます。
 また感染症対策に尽力いただいている保健、医療従事者の方々へ、災害復旧にご労されている方々へ
心より感謝申し上げます。
ホスピス財団 理事長 柏木 哲夫
 
新型コロナウィルスへの対応について
 
今月のコラム

池永 昌之氏
淀川キリスト教病院
緩和医療内科主任部長
池永 昌之
  Withコロナの状況において考えるネガティブ・ケイパビリティ

 精神科医である帚木蓬生(ははきぎほうせい)氏は、ネガティブ・ケイパビリティを同名の書物(朝日新聞出版2017)で「どうにも答えの出ない、どうにも対処しようのない事態に耐える能力」、「性急に証明や理由を求めずに、不確実さや不思議さ、懐疑の中にいることができる能力」と定義している。私は、現在のWithコロナの状況おいて、感染防御をしっかり行いつつ、自分が感染する恐怖と闘いながらも、心は密に寄り添う支援を提供するためには、この「ネガティブ・ケイパビリティ」がホスピス緩和ケアに携わるスタッフには求められているような気がする。
 医療や科学は私たちの身体の問題をできるだけ早くに見つけ出し、解決できるように発達してきた。しかし、それら医療や科学の発展をもってしても、解決することのできない、様々な試練や苦難は存在する。Withコロナの状況の私たちのジレンマがそうであるように、私たちの人生にはその答えや解決方法は簡単には見つからないことのほうが多い。それは、私たちが向き合うホスピス緩和ケアの対象となる患者や家族の苦悩そのもののように思う。つまり、これまでの教育において大切にされてきた、問題への対処方法を早急に見つける能力(問題解決能力:ポジティブ・ケイパビリティ)とともに、とりあえずその場は耐えて自分の役割をとりあえず全うする能力(ネガティブ・ケイパビリティ)が重要なのだと考えられる。
 その上で、その自分に与えられている自分自身のいのちの価値、目には見えない存在が示そうとしている人生における苦難や試練の意味を、患者や家族とともにあきらめず探し求める能力が、私たちにはいま、必要とされているのではないだろうか。そして、私自身は、答えがそう簡単に見つからず事態に耐えるしかないこの状況だからこそ、この病院や施設における面会制限の中においても、入院患者と家族が「つながり」や「きずな」を感じることできる手段を探していきたいと考えている。
     
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ホスピス財団主催・協賛の研修会、セミナーのご案内
「ともいき京都」がオンラインで開催されます
 
 
ともいき京都のロゴマーク    ホスピス財団協賛の「ともいき京都」は、がんを体験した人、家族や親しい人達が、日頃の思いや悩みを語り、医療の専門職が一緒に対話をする場です。
 
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以下のホスピス財団主催の研修会、セミナーは中止または延期となりました
ホスピス財団 20周年記念講演会
 
 
WholePersonCare ワークショップ2020のチラシ    新型コロナウイルス感染予防のため、9月18日の講演会は中止となりました。何卒ご理解下さい。
 
 
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Whole Person Care ワークショップ2020
 
 
WholePersonCare ワークショップ2020のチラシ    Whole Person Care ワークショップ『9月5日(土)9月6日(日)』は新型コロナウイルス感染予防のため、次年度へ延期となりました。何卒ご理解下さい。

 2021年度の開催については、決定しましたらホームページ等でお知らせいたします。
 
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ホスピス財団 第4回国際セミナー
 
 
ホスピス財団 第4回国際セミナーのチラシ   Whole Person Care対話型ワークショップ

9月20日、21日開催予定のワークショップは Hutchinson 先生の来日が困難と判断し、次年度に延期させていただきます。
実施時期については、決定しましたらホームページ等でお知らせいたします。
 
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お知らせのコーナー
ホスピス財団ニュース39号が発行されました
 
 
ホスピス財団ニュース39号の表紙    ホスピス財団20周年を記念して、これまでの歩みを写真で辿りました。
 
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日本 Whole Person Care 研究会が発足しました
 
 
日本 Whole Person Care 研究会のラベル    日本 Whole Person Care 研究会が発足し、第1回研究会が8月1日(土)WEBにて 開催されました。
研究会での講演は、ホスピス財団ホームページにて公開されています。
 
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『 Whole Person Care 実践編 』 ー医療 AI 時代に心を調え、心を開き、心を込めるーが発刊されました
 
 
『 Whole Person Care 実践編 』の表紙    本書は Whole Person Careに関するホスピス財団発行が発行する2冊目として、既刊『新たな全人的ケア・・医療と教育のパラダイムシフト』に続いて、6月より三輪書店より全国で発売されています。
医療に携わる方々を始め、医学生、看護学生の皆様、ホスピス緩和ケアに関心のある方々、 是非ご一読ください。

 
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J-HOPE4が発行されました
 
 
J-HOPE 4 の表紙    世界的に質の高い研究として国際的にも評価されている調査・研究が、この度 J-HOPE 4 としてまとめられました。
 今回は付帯研究が50題と充実していますので、是非ご覧ください。
ホームページでも公開しておりますが、ご希望の方には 1000 円で頒布いたします。(ホスピス財団賛助会員には無料で送付しております)

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第20期事業報告書が発行されました
 
 
大20期事業報告書 の表紙    2019年度の事業内容が事業報告書としてまとめられました。
ホームページで公開しております。

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『新たな全人的ケア・・医療と教育のパラダイムシフト』 好評発売中
 
新たな全人的ケアの表紙  
 「Whole Person Care:A New Paradigm for 21Century」(Springer 社 2011年)の日本語訳として『新たな全人的ケア:医療と教育のパラダイムシフト』を青海社より全国で発売中です。
 Whole Person Care とはカナダ、マギル大学医学部で開発された、新しいケアの概念であり、従来の考え方を根本的に変えるアプローチです。
 是非、ご一読ください。
 
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情報コーナー
情報コーナー
コロナ新時代への動画メッセージ(日本死の臨床研究会主催)が公開されています
 
   今年の日本死の臨床年次大会は延期となりましたが、中橋・井上両大会長と世話人代表の髙宮よりの動画メッセージに加えて、特別講演として、ホスピス財団理事長の柏木哲夫氏の興味深い動画講演が紹介されていますので是非、ご覧ください。
  特別講演
「コロナと距離~人と人との距離」
日本死の臨床研究会顧問 柏木哲夫氏

“患者にはその日その日の距離がある。”  川柳:柏木哲夫氏




ホスピス・緩和ケアに関する新聞記事の紹介
 
・嘱託殺人と命の重み
ALS患者の女性が殺害された事件に関して、ALSで国会議員の舩後靖彦氏、日本尊厳死協会副理事長の長尾和宏氏、コラムニスト小田嶋 隆氏に意見が、その論点など意見を述べている記事。
(毎日新聞 2020/10/29 掲載)

・シリーズ意思決定「私と人生会議(続)
肝硬変末期の68歳の男性が、自らの最期を覚悟し、家族や医療者などと、3回目の人生会議を 開いていく過程を取材した記事。自分では死を受け入れていると思っていても、実際には そうではないことや、介護する妻の苦悩などが紹介されている。
(読売新聞 2020/09/23〜10/02 連載)

・人生100年は幸せか
100歳以上の高齢者が8万人を超えた。しかし、それは理想の世界だろうか。
「今は患者をどうやって生かそうではなく、どうやって死なそうかを考えるのが仕事」と言っているのは森鴎外の孫の小堀医師。考えさせられるコラム。
(毎日新聞 2020/10/01 掲載)

・「看取りは自宅で」が増加
新型コロナウイルスの影響で、病院や介護施設での面会が制限されたために、最期を自宅で 過ごす人が増加している。またそのためのサポートが具体的になされていることを紹介した記事。
(毎日新聞 2020/09/30 掲載)

・アルフォンス・デーケンさんを悼む
日本人の死生観に大きく影響を与えたデーケン氏を偲んだ柳田邦男氏の追悼文。
(毎日新聞 2020/09/21 掲載)

 
 
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