今月のコラム |
京都大学大学院
医学研究科 人間健康科学系専攻 博士後期課程/ がん看護専門看護師 市原香織 |
がんは長期生存が可能な時代となり、多くのがん体験者さんとご家族ががんとともに地域社会で暮らしています。その一方で、がんは依然として命を脅かす病いであるイメージが払拭されず、不安や悩みを抱えながら日々を過ごしている方も多いでしょう。そのような不安や悩みを抱えながらも、がん体験者さんを中心として、そのご家族、周囲の人々が、がんとともに生き抜く知恵を育み、互いに支え合うコミュニティとして2015年「ともいき京都」が創られました。私は、発起人代表の田村恵子氏とその発起人メンバーの一人として「ともいき京都」の活動の立ち上げに携わる機会をいただきました。病院でもない施設でもない京町家で始めたこの活動は、がん体験者さんやご家族、市民ボランティア、専門職が集う第3の居場所となり5年を迎えようとしています。 私達の主な活動は、月2回定例で開催するがんを生き抜く知恵につながるワークショップ(がんに関する講義、哲学カフェ、ストレス対処法、リラクセーション、アート、音楽等、がん体験者さんと企画)と専門家への個別相談であり、参加をきっかけに、がん体験を共有し、ケア的な対話の場を拓くことを重視しています。この対話の効能は、参加者同士の話を聴くことで多様な考え方を知り、自らも考え語ることで、新たなものの見方や考え方が得られ、自分も他人も認め受け入れられることです。現在、「ともいき京都」に集うがん体験者さんが、継続的な参加を通して、どのように生き抜く知恵を育んでこられたか、インタビュー調査を行っています。がん体験者さんの語りは「(対話を通して)もやもやした気持ちが整理できた」「できなくてもいい、自分を許すことができた」「心地がよく安心できる居場所をここに見出した」「(ワークショップで)いろんな可能性があることを知った」「病気を通して人が好きになり、社会貢献のために生きたいと思えようになった」等です。私達の活動が何らかの形で、がん体験者さんの心に根づき、生き方を考えるヒントとなって役立っているようです。 この活動はホスピス財団をはじめ多くの方々のご支援をいただいて成り立っています。発起人メンバーの一人として創立時の初心と活動を支えていただいている方々への感謝の念を忘れずに、病いを抱えながらも地域社会で生き抜ぬく知恵はどのように育まれるか、問いの探究と新たなケアの在り方を見出す挑戦を続けたいと思います。 |
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ホスピス・緩和ケア市民フォーラム in 京都 | |||||
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WholePersonCare ワークショップ2020 |
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ホスピス財団 第4回国際セミナー | |||||||
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第2回 日本グリーフ&ビリーブメント学術大会 | ||||||
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『新たな全人的ケア・・医療と教育のパラダイムシフト』 好評発売中 | ||||||
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情報コーナー |
ニッポン放送「阿部 亮のNGO世界一周」にホスピス財団 柏木理事長が出演され、 ホスピス財団の活動などをお話しされます。 |
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放送日 第1回 2020年2月24日(月)21時30分~21時50分 第2回 2020年3月 2日(月)21時30分~21時50分 FM93 または AM1242 (関東圏のみの放送です) |
ホスピス・緩和ケアに関する新聞記事の紹介 |
・垣添忠生氏が語る、がん患者・家族団体の提言(地球を読む) 国内ではがんに関する2種類の団体があり、ひとつは「がん患者会」もう一つは、「がん患者・家族支援団体」がある。それぞれ大小の違いはあるが全国的に広がりつつあり、その紹介が記されている。一方、欧米では日本以上にこれらの団体は資金的も人的にも充実している。日本でも欧米にならって、団体が協働して政府に支援を働きかけることが必要であると提言されている。 (読売新聞 2020/01/27 掲載) |
・「一期二会」で生きる 一期二会を目標とする悪性腫瘍を患った、ある緩和ケア医の人生の目標を新聞に投稿した記事。 (毎日新聞 2020/01/06 掲載) |
・ACP「人生会議」で何をきめなければいけないのか 人生会議(アドバンスケアプランニング:ACP)を進めるために、ACPを模擬体験できるカードを亀田総合病院が開発した。36枚のカードで、家族が大切にしたいことを書いたカードを選んでいき、お互いの価値観を共有できる意味があるとのこと。 (毎日新聞 2019/12/20 掲載) |
・シリーズ意思決定「最善」を探す ある80歳の義母を夫とともに看取った主婦の、発病から1年間にわたる記録を取材した記事。 延命はしたくない、家で暮らしたいと希望しつつも激痛に悩まされ、緩和ケアを受ける中で家族と医師が最善を求めて苦悩する記録が記されている。 (読売新聞 2019/12/23〜27 連続) |
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