今月のコラム |
青梅慶友病院
看護介護開発室長 桑田 美代子 |
認知症になったら、どのようなケアを受けたいですか 『自分が認知症になったら、ケアするスタッフに何を望みますか』、私は認知症をテーマにした研修会に講師で招かれた時、必ず冒頭で参加者にこの質問をします。「優しくしてほしい」という意見が最も多いです。そして、『今、皆さん達が認知症の方達に提供しているケアを、あなた自身が受けたいですか』とも問います。「受けたい」とうなずく方もいますが、多くの方達は黙ったままです。これらの問いかけの意図は、認知症の人への対応は、普通の方達と同じと考えていてほしいと思うからです。ケアを行う前には声をかけ了承を得る。ケアが終わったら心地よさを確認する。笑顔で挨拶をする。ケアを受ける人へ恐怖感を与えない、ケアするスタッフが安心感を与えることは当然のことと考えるからです。 私が務める青梅慶友病院は、入院患者の平均年齢が約89歳、平均在院期間3年4ヶ月、9割が認知症を有し、9割が死亡退院する「終の住処」の役割を担った療養型の医療施設です。私は自分のこれまでの臨床経験と日本の超高齢社会を考え、自分らしさを活かしながら社会貢献できる場として1994年に入職しました。入職した頃、“寝たきりを起こす”“食べるは五感で味わう。見て・噛んで・香りで楽しむ”“安易な理由でおむつをつけない”“抑制廃止”などを目標に掲げ多職種で取り組んでいました。超高齢者・認知症高齢者にとって《動く》と《食べる》ことの大切を再確認しました。しかしその当時、「認知症」や「老化の延長線上の死」については、医療関係者からはあまり注目されていなかったように思います。 あれから約25年、「認知症」や「老化の延長線上の死」について注目されるようになりました。ですが、認知症に対するケアの質は上がったのだろうか・・・と自問自答するときもあります。「認知症」や「老化の延長線上の死」は他人事ではありません。自分自身にも関係することです。自分がその立場になったら、どのようなケアを受けたいかが問われているのです。 認知症に対する知識を身につけてほしい。超高齢者・認知症の人のQOLの向上には、日々丁寧に繰り返されるケアが尊厳の保持につながること。そして、専門領域(分野)や職種の垣根を超え、皆で取り組むことができたら素晴らしい。そのようなことを願っている私です。 |
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ホスピス・緩和ケアフォーラ in 大分 | |||
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『新たな全人的ケア・・医療と教育のパラダイムシフト』 好評発売中 |
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情報コーナー |
第1回日本グリーフ&ビリーブメント学会 総会および学術大会 | ||||||
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ホスピス財団の“旅立ちのとき”が実例として使用されました | ||||||
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ホスピス・緩和ケアに関する新聞記事の紹介 |
・「死」を考える(上下の2回シリーズ) 多死社会を迎え、自分の生き方や大切にしたいことなどを考えることを提唱している日本メメントモリ協会の活動を紹介した記事。また、下では宗教学者の島薗進氏が「死とは いのちの源に帰っていくことに通じる」としたコラムが掲載されている。 (毎日新聞 2018/11/17・24 夕刊掲載) |
・映画「ガンジスに還る」を紹介した記事 死期を悟った老人とそれを見送る家族の思いを描いた映画を通して、日本人の人生観を考え直すことを提案したコラム。 (毎日新聞 2018/11/10 夕刊掲載) |
・「マインドフルネス」の効果を医学的に検証 心の安定に効果があるとされて、話題になりつつある「マインドフルネス」の医学的効果を検証する試みが慶応大学などで行われていることを取材して紹介した記事。 (毎日新聞 2018/11/8 夕刊掲載) |
・重度身障施設で最期まで暮らした歌人、関 政明(2018年1月没)を紹介した記事 不治の病を間にして結ばれる患者と医師、看護師、介護士を歌いあげた歌人、関 政明氏の生涯を歌人の川野里子氏のコラム。 “有り難うございましたとわが尿を採りてくれたる介護士言へり” (毎日新聞 2018/11/5 掲載) |
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