今月のコラム |
ホスピス財団 評議員
医療法人中尾医院 顧問 足立 義和喜 |
秋の夜長でふと気になったこと 多くの人々の記録に深く刻まれているとおり、今年は数々の大災害が日本を襲った。 それも50年に一度の大雨などと、未曽有の災害が日本中で人々を襲った一年であった。大地震にも見舞われる年でもあった。大災害の連続で混乱した日本ではあったが、東日本大震災の時のように、日本人は逞しく克服しつつある。その大きな要因の一つが、日本がしっかりした医療で守られていることである、と私は改めて痛感した。医療関係者が協力して患者のケアを行う中で、志が高い医師や看護師たちが昼夜を問わず診察にあたったことで、失われずに済む多くの命を救った。問題がゼロではないが、しかし今回行われた数々の医療は未来へ向けての貴重な知見を得ることになったものと私は確信している。 ただ残念なこともあった。日本を訪れた多くの外国観光客が、日本の優れた医療の恩恵に触れられないシーンも多かった。ということだ。益々増加する海外からの外国観光客、来年はラグビーのワールドカップの開催、翌年は東京オリンピック、パラリンピックだ。海外からのお客さんへの医療をどうするのか、医療の課題だとする専門家の声があると聞く。その一方でインドへ日本医師を派遣するなどの医療支援の決定が行われ、日本の医療は海外に飛び出し始めている。また日本のがんセンターの入院患者のうち、中国人が多くを占めているという現実もある。 そんなことをふと考えていたある日、私は気になることがあった。日本の医療の根幹とされる「医師法」の解説をどこかの新聞記事で読んだことがあるが、「医師法」の第一条には「医師は医療及び保健指導を掌ることによって公衆衛生の向上及び増進に寄与し、もって国民の健康な生活を確保するものとする。」気になったのは最後の部分だ。「国民の健康な生活」――法律が作られた終戦直後の社会を想像すれば、“日本国民”の健康管理が劣悪だったゆえ、国家の基本姿勢がその言葉になったと思うが、しかし、これからの未来を思えば“日本国民”のための医療と言う言葉に違和感を覚えるのは私だけだろうか。“国民”と言う部分を、日本の医師の精神は人類のためにある――そんな偉そうな書き直しがあっても良いのではないだろうかと、秋の暇な夜長、私はふとそう思った。 |
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ホスピス・緩和ケアに関する新聞記事の紹介 |
・新作映画「ハナレイ・ベイ」を紹介した記事 一人息子を亡くしたシングルマザーのサチ(吉田羊)が、10年間ハワイの浜辺で息子を思い、人生と向き合う姿を描いた作品を紹介した記事。 (毎日新聞 2018/10/17 掲載) |
・樹木希林さんを偲ぶコラム 「死ぬときぐらい好きにさせて」と、ハムレットをパロディ化した彼女の見事な生き様を紹介したコラム。 (毎日新聞 2018/9/19 掲載) |
・親ががんに罹った時の子供をサポート 淀川キリスト教病院が、親ががんに罹った時の子供への対応をサポートするため専門スタッフが集まる組織「クライム」を立ち上げた事を紹介した記事。 (毎日新聞 2018/8/29 夕刊掲載) |
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