今月のコラム |
革島病院 副院長
革島 定雄 |
「死んだら終わりなのか」 山口真由著『リベラルという病』(新潮新書)に次のような記述があります。 《ニュートンの遺した有名な言葉に、「ニュートンの海」がある。 「私という人間が世間の目にどう映っているかは知らないが、自分では海辺で遊ぶ子どものようなものだとしか思えない。ときに普通よりなめらかな石ころや、きれいな貝殻を見つけたりして、それに気をとられているあいだにも、眼前には真理の大海が、発見されぬまま広がっているのだ。(ジェイムズ・グリック『ニュートンの海』より)」 真実の大きな海の前で、人間がいかに小さな存在かを偉大な科学者が語る。この言葉には、大いなる自然に対する畏敬の念がある。大いなる自然に対する畏怖というのは、我々日本人には慣れ親しんだ感覚なのではないかと思う。》 アイザック・ニュートンは絶対空間、絶対時間が存在しなければならないことを知っており、そして神はその絶対の時空間に遍在しているのだと確信していたのです。また万有引力がまさに神の御業(みわざ)であるがゆえにその伝達に時間を要さないことも知っていました。そのニュートンが抱いていた自然観、世界観が、実は日本人が古来慣れ親しんできた自然観、世界観とほとんど変わりがないのです。そして、理論物理学者の保江邦夫はその著『ついに、愛の方程式が解けました』(徳間書店)の「プロローグ――空間を友とする生き方」において次のように書いています。 《人類の多くが「空間を友とする」ことで、調和と平安に満ち充ちた世界が実現される日も遠くない。そして、このことをすでに何十年も前に、看破していた哲人がいた。今は故人ではあるが、「生長の家」を興した谷口雅春氏がその人であり、「宇宙荘厳の歌」の中にその強い思いが謳(うた)われている。》 《宇宙荘厳の歌 一、荘厳きわまりなき自然 悠久きわまりなき宇宙 立ちて仰げばあおぞらに 銀河流れてほし無限 二、かみの叡智はきわみなし かみのちからは限なし 星と星との空間を ひく糸もなくひく不思議 三、不可思議不可知科学者も なにゆえ万有引力が あるかをしらずただ神秘 万有むすぶは神のあい 四、ああかみの愛かみの愛 宇宙にみちて万有を むすびあわせて荘厳の 宇宙いまここけんげんす 五、もし愛なくば荘厳の 宇宙げんぜず美しき 人と人とのむつまじき むすびの世界あらわれず 六、われらいのちの本源を 神にみいだし神の子の 愛のいのちを生きんかな 神のいのちを生きんかな》 この歌詞はまさにニュートンの思いを謳ったものであると言えます。つまり宇宙には神の愛が満ちており、われらの命の本源はその神の愛であるということになるのです。 次に文部省唱歌「故郷(ふるさと)」(高野辰之作詞、岡野貞一作曲)の歌詞を見てみましょう。 一、兎追いしかの山 小鮒釣りしかの川 夢は今もめぐりて 忘れがたき故郷 二、如何にいます父母 恙なしや友がき 雨に風につけても 思いいずる故郷 三、こころざしをはたして いつの日にか帰らん 山はあおき故郷 水は清き故郷 この歌はもちろん生まれ故郷を偲(しの)ぶ望郷の歌なのですが、日本近代文学研究者の鈴木秀子さんによると、より深い意味ではこの歌はやがて帰郷する「魂の故郷」つまりあの世を偲ぶ歌でもあるそうです。 そうだとすれば「こころざし」の意味がより鮮明になります。つまり「こころざし」とは神の愛に感謝し、「おかげさま」「おたがいさま」で生きることであるわけです。現代物理学の基礎理論であるニュートン力学と量子力学が、ともにこの死生観、世界観を支持しており、「死んだら終わり」とする死生観や唯物論的世界観は現代物理学によって完全に否定されています。そして終末期医療に携わっていると、死が「新たな旅立ち」に他ならないことを、「お迎え現象」「臨死共有体験」「死者と生者の仲良し時間」などの体験を通じて、死にゆく人々から教えていただけるのです。 |
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ホスピス財団 第2回 国際セミナーのご案内 “米国の緩和ケアにおける倫理的ジレンマ” (逐次通訳付) |
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Whole Person Care ワークショップのご案内 | |||||
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ホスピス財団が後援する新しい映画「四万十・・いのちの仕舞い」が、公開上映されています | ||||||
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『新たな全人的ケア・・医療と教育のパラダイムシフト』 好評発売中 | ||||||
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情報コーナー |
ホスピス・緩和ケアに関する新聞記事の紹介 |
・特養、看取りの場に 診療報酬と介護報酬の同時改訂が行われるが、今後は特養での看取りが必要になると予想される。 しかし、実際に特養で看取るためには医師の協力が必須であり、このため今回の診療報酬改定では 嘱託医の特養訪問に対して上乗せされることを紹介した記事 (読売新聞 2018/2/25 掲載) |
・厚労省が終末期医療・ケアに関する指針改正を検討しているが、とくにACP(アドバンス・ケア・プランニング)の重要性が盛り込まれたことを紹介した記事 (読売新聞 2018/2/24 掲載) |
・YOUTUBEで、静かなブームになっている「奈良 時の雫」を制作している映像作家、保山耕一氏が、がんに罹ってから新しい目標を見出したことを紹介した記事 検索キーワード: 奈良 時の雫
https://www.youtube.com/playlist?list=PLS5Pw7C3Z4tCwQ10as2VF9Q-6Du_hWEpF
(毎日新聞 2018/2/22 夕刊掲載) |
・骨転移の薬で思わぬ事態に 乳がんステージ4から骨転移し、そのために薬の影響で、骨がもろくなり、骨折したことを経験した毎日新聞記者の手記。これを防ぐためには、がん主治医に加え、整形外科医、薬剤師などを加えたチーム医療が必要なことが提言されている。 (毎日新聞 2018/2/15 掲載) |
・救急時の延命をどうする 救急搬送された高齢者が多くなっているが、延命処置をするかどうかの判断が難しいため、家族が戸惑うケースが多い。このため救急病院が、家族の事前の話し合いが大切であることを寸劇でセミナーを開催していることなど、救急時の延命へ備えが大切であることを紹介した記事 (読売新聞 2018/2/9 夕刊掲載) |
・診療報酬改定に関する解説記事 本年4月より、診療報酬と介護報酬の同時改定が行われるが、診療報酬では在宅医療への取り組みが重視されている。また今回の改定により、負担、サービスがどのように変わるかを解説した記事 (毎日新聞 2018/2/8 & 読売新聞 2018/2/8 掲載) |
・医療的ケア児の在宅支援 ここ数年で人口呼吸器など医療的ケアの必要な子どもが増えているが、その子ども支援できる体制が不十分である。一方、大学病院と連携して在宅でのケアに取り組んいるケースもあることを取材した記事 (読売新聞 2018/2/2 夕刊掲載) |
・シリーズ記事 「死別ケア」 悲嘆の中にある死別体験者のケアに関して遺族外来の働きや、同じ苦しみを持つ遺族の集まりなど様々な支援や活動を実例を通して紹介した記事 (読売新聞 2018/1/19〜26 連載) |
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