(公財)ホスピス財団 メールマガジン「今月のお便り」 vol.4
今月のコラム
 
小谷 みどり さん

第一生命経済研究所
ライフデザイン研究本部
主席研究員
ホスピス財団事業委員
小谷 みどり
   日本には火葬までの間、水やご飯を供えたり、話しかけたりなど、生きているかのように死者を扱う風習があります。遺骨になった後も、仏壇や遺影、お墓に故人の好物を供えたり、話しかけたりする人もいます。先祖がこの世に戻ってきて、死者と生者がつかの間の時間を共に過ごすお盆もあります。文化的には、日本では人は死なないともいえます。 昨今、葬送儀礼の形が変容してきています。この背景には、さまざまな社会の要因がありますが、元気なうちに、自分の人生の終焉を考えておこうという風潮も影響しています。しかし多くの日本人にとって、自分の問題として死を捉えたときと、大切な人が亡くなる想定をしたときとでは、死のイメージは異なります。
 たとえば「わたしの死」を想定した場合に、「死んだら無」という意識を持つ人でも、「大切な人の死」を「死んだら無」だとは思いません。これは、私が2006年に約1000人を対象におこなった調査でも明らかになっています。こうした一見矛盾した意識は、「わたしのお葬式は不要だけれど、大切な人が亡くなったときにはお葬式をする」とか、「わたしはお墓はいらないけれど、大切な人のお墓参りはする」といった行動にも現れています。
 地域が総出で葬儀を手伝い、亡くなった順番に集落の墓地に土葬されるのが当たり前だった時代には、家族の有無に関わらず、自分の死後に不安を持つ人は少なかったはずです。昨今、死の迎え方や葬送の選択肢が増えた反面、「どんな方法がいいのか」「誰がやってくれるのか」という不安が増大してきたのは、もちつもたれつの互助関係が消滅した結果でもあります。
 自分らしくどう逝くかという視点は、どう生きるかを考える上でとても重要ですが、遺された人が大切な人の死をどう受容できるかという観点がないがしろにされがちの昨今、グリーフワークやケアの重要性について訴えていきたいと思います。

 
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2015年度 事業助成募集のご案内
本年度より助成の対象が拡大されました
     
2015年度事業助成募集のご案内のイメージアイコン   ■ 対象者 :助成課題に意欲的に取り組んでいる医療従事者の個人あるいは団体
■ 助成金額:1件あたり50~150万円(数件)

本財団は、ホスピス・緩和ケアの発展に貢献し、国民の保健医療の向上に寄与することを目的として、ホスピス・緩和ケアに関する調査・研究、人材育成、普及・啓発および国際交流等の事業を展開しています。今回、本財団の使命であるホスピス・緩和ケアの質の向上に貢献するという観点から、財団の助成する事業を拡大して公募することになりました。
 
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セミナー・ワークショップ・研修会のお知らせ
ホスピス・緩和ケアボランティア研修会(第1回)が開催されました。
 
 7月3日(木)、神戸・三宮研修センターで、ホスピス・緩和ケアボランティア研修会が開催され、300名近い参加者で、会場は満席となりました。高宮有介氏からは、“全人的ケア、死から生といのちを考える”と題して、医療従事者やボランティアが、現場で直面する困難な課題に対して、様々な実例を引用しながら適切なアドバイスを戴きました。また、大河内大傳氏からは、“寄り添う心・スピリチュアルケアの視点から”と題して、寄り添いの本質と実践について多くの示唆が与えられ、また宗教者の果すべき役割についての提言も戴きました。なお、当日の講演内容は、9月開催予定の第2回ホスピス・緩和ケアボランティア研修会と合わせて「開催報告書」としてまとめられ、ホスピス財団ホームページでも 公開予定です。

ホスピス・緩和ケアボランティア研修会の様子-1   ホスピス・緩和ケアボランティア研修会の様子-2
 
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第5,6 回 Whole Person Care ワークショップ
     
whole_person_careのイメージアイコン   本ワークショップは、ホスピス・緩和ケアに従事する医師、看護師、薬剤師、MSW やメディカルスタッフの育成を目的としたものです。体験学習を主としており、グループワークを通じて Whole Perdon Care の学びを深めることを目ざしております。
ご参加を心よりお待ちしております。

大阪会場
第 5 回 2014年8月9(土) 9時30分~19時30分
千里ライフサイエンスセンター
期日が近づきました。お申し込みはお早めにお願いします。
札幌会場
第 6 回 2014年8月23(土) 9時30分~19時30分
TKP 札幌ビジネスセンター
期日が近づきました。お申し込みはお早めにお願いします。
 
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ホスピス・緩和ケア ボランティア研修会 9月4日
     
ホスピス・緩和ケアボランティア研修会ポスター   ■ 日 時:9月4日(木)13:30 ~ 16:15(13:00より受付)
■ 会 場:愛媛大学医学部 40周年記念講堂
(病理解剖臨床講義棟2階)
■ 講 演:中橋 恒氏(松山ベテル病院 院長・ホスピス病棟医長)
 ・病院ボランティアの役割とは?
 ~ ボランティアがいる病院の風景~

 櫃本真聿氏(愛媛大学医学部附属病院
       総合診療サポートセンター センター長)
 ・生活を途切れささないために
  ~ 緩和ケアとエンパワメント ~
■ 参加費:無料
■ 資料代:1,000円
 ※(公財)日本ホスピス・緩和ケア研究振興財団・
  (特活)日本病院ボランティア協会会員は無料
■ 共 催: (公財)日本ホスピス・緩和ケア研究振興財団/
  (特活)日本病院ボランティア協会
■ お申込み・お問合せ:
  (特活)日本病院ボランティア協会 TEL・FAX 06-6809-6506
 
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ソーシャルワーカーのスキルアップを目指す実践セミナー
     
「ソーシャルワーカーのスキルアップを目指す実践セミナー」のチラシ   ■ 日 時:2014年10月12日(日)10 : 00 ~ 17 : 00(9:30 より受付)
■ 会 場:メルパルク 京都 4階 研修室
    〒600-8216 京都府京都市下京区東洞院通七条下ル東塩小路町676-13
■ 講 演:細川 豊史氏
     (京都府立医科大学大学院 疼痛緩和医療学講座 病院教授・
    京都府立医科大学附属病院 疼痛緩和医療部 部長)
    ・かけがえのない時間を過ごすための早期からの緩和ケアとがん疼痛ケア
     ~ 知ってほしい痛みの話~
■ 講義&ワークショップ:
    田村 里子氏(WITH医療福祉実践研究所 がん・緩和ケア部)
    福地 智巴氏(静岡県立静岡がんセンター)
 
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ホスピス財団の2014年度事業の紹介
 
その4(4 回シリーズ)
 
今回は、国際交流事業の紹介です。
 
日本・韓国・台湾の緩和ケア医の終末期医療に対する態度に関する比較文化研究
 
APHN関連事業費
 
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ホスピス財団の人事のお知らせ
 
高野山大学学長 藤田 光寛氏が、ホスピス財団の理事に就任されました
 

 財団の使命であるホスピス・緩和ケアの質の向上、とりわけ財団が力を注いでいるスピリチュアルケア分野では宗教的ケアも大切な領域であり、今後ますますその必要性が高まるものと考えております。また、その推進のためには、宗教、宗派を超えての協力が必要であることより、今般、高野山大学学長、藤田光寛氏が理事に就任されました。

 
高野山大学学長、藤田光寛氏高野山大学学長、藤田光寛氏  
藤田 光寛氏 略歴
1972.3   東北大学文学部 哲学科印度学仏教史学専攻 卒業
1974.3   東北大学大学院
文学研究科修士課程印度学仏教史学専攻 修了
1977.3   東北大学大学院
博士後期課程印度学仏教史学専攻 単位取得退学
1983.4~1994.3   高野山大学文学部 助教授
1994.4~   高野山大学文学部 教授(現在に至る)
2011.4~   高野山大学学長(現在に至る)
 
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その他のニュース
 
21世紀高野山医療フォーラムの紹介
 
・平成26年10月4日(土)12:00より日比谷公会堂にて、「医療と宗教、新しい時代へ」をテーマに21世紀高野山医療フォーラムが催されます。

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ホスピス・緩和ケアに関する新聞記事の紹介
 
・国立がん研究センターはがんの患者数や死亡者数の予測を発表。年内のがんと診断される患者数を88万人、また肺がんが大腸がんを抜き、増加するとしている記事
(朝日新聞2014/7/11掲載)

・上咽頭がんとの2度の闘いを経たアニメソング歌手の和田光司さんの、がんと共存する生き方を紹介した記事
(読売新聞2014/7/10掲載)

・浄土宗僧侶で上智大学グリーフケア研究所の研究員、大河内大博さんを紹介する記事
(朝日新聞2014/7/2<夕刊>掲載)

・緩和ケアは、がんと診断されたときから始まります」厚生労働省はがん診断と緩和ケアについての切れ目のない適切なケアを実施するよう医療従事者向けにリーフレットを配布した
(毎日新聞2014/6/30掲載)

・仲間で「共同墓」づくり。老人施設や部活OBなどグループで旧来の家意識を離れた共同墓(合同葬)の動きを紹介した記事(読売新聞2014/6/26掲載)

・突然のお別れに、戸惑う遺族に、遺体を安置し、遺族も宿泊でできる遺体安置施設を紹介する記事
(読売新聞2014/6/25掲載)

・厚生労働省はがんを抱えながら働く患者の支援策をまとめた。仕事と治療両面支援を提案を紹介する記事
(読売新聞2014/6/23<夕刊>掲載)

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