今月のコラム |
革島病院 副院長
革島 定雄 |
朝日新聞の毎週土曜日発行のbe版の2016年3月5日号に、独自のアンケート調査をもとに分析した「霊の存在を信じますか?」という特集記事が載りましたが、それによると「死後の世界を信じるか」という質問に「信じる」と答えた人 33%「信じない」と答えた人 59%「その他」8%だったそうです。このアンケートの回答者に大きな偏りがなかったとしたら、現代の日本人の6割の人が「死後の世界は存在しない」と考えているらしいことになります。 この調査では概ね健康な方々が調査対象だったようですが、ではホスピス・緩和ケア従事者に同様の質問をすればどんな答えが返ってくるでしょうか? また「死後の世界は科学的に存在しない」のでしょうか? 後者の問題については、ブレーズ・パスカルの遺稿集『パンセ』の中に「パスカルの賭け」として知られる話が載っています。そこでパスカルは「このような科学で決められない問題については、どちらに賭けても、負けても理性は傷つかない、ではどちらに賭けた方が得られるものが大きいか考えてみよう」という問いかけをしています。 まず、「理性で決められないようなことには賭けないのが正しいのであるが、しかし君たちはもう船に乗っている、つまり生きているのだから必ず死を迎えるのであり、すでに賭けにのっており、いず何れかに賭けなければならない」と言います。そして死後の世界が存在するかどうか、どちらに賭けるかによって得られるものに大きな差があると指摘します。そして死後の世界の存在に賭けて人生を送るならば、もし死後の世界があっても無くても決して後悔することはないと言います。なぜなら、あれば死後に神から永遠の幸福を与えられるし、もし無かっても「しまった間違った方に賭けてしまった」と後悔する意識はもうないのだから何も失わないからです。それに対して「どうせ死んだら終わり」だとして現世利益のみを追求する利己的な人生を送って死を迎えたときに、死後の世界があったならば、そこで大変な後悔をすることになるといいます。そしてもし賭けに勝ったとしても、「それみろ、わしの勝ちだ!」といって勝ち誇る意識はもうないのですから、得るものは何もないというわけです。この差は無限に大きいと言います。さらにパスカルは、「ではもしある方に賭けて、謙虚、親切、誠実で利他的な人生を送ったならば、現世において多くの物を失うのだろうか? いや実際にそのような人生を送ってみれば、そちらの方がずっと幸福な人生であって結局何も失わなかったことに気づくであろう」と付け加えます。 死後の世界の存在を直接科学的に証明することはできませんが、多くの臨死体験の報告を通じて間接的には証明されているとも言えます。 もう一つの間接的証明としては、現代科学がこの世界は72%がダークエネルギー、23%がダークマターでできており、物理学が対象にできる通常物質は世界の5%を占めるに過ぎないことを明らかにしたことが挙げられます。 つまりこの世界の95%は、目で見たり触れて感じたりすることができない存在つまり、オカルトなのです。つまり、死というのは通常物質の世界から、この世界に重なって存在している見えない世界に帰還することであると見なすことができるのです。 死後の世界の問題はもちろんホスピス・緩和ケアを受ける患者さんにとって重大な問題でありますが、実はホスピス・緩和ケア従事者にとってより重要な問題となります。なぜなら多くの患者さんは死期が近づくにつれて自然に死後の世界の存在に気づき、ふるさと故郷への帰還を心待ちにするかのように温和になっていかれますが、ホスピス・緩和ケア従事者が「死は終わりだ、敗北だ」と思っていると、担当の患者さんの死が続くと敗北感にさいなまれて燃え尽き症候群に陥ってしまうからです。 |
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ホスピス財団 国際セミナーが、東京・大阪で開催されます | |||||||
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Whole Person Care ワークショップ コースⅠ、コースⅡが開催されました | |||
コースⅠを受講された方を対象とした、より深くWhole Person Careを学ぶための、コースⅡを加えて8月5日、6日に千里ライフサイエンスセンターにて開催されました。コースⅠ19名、コースⅡ20名の参加がありました。 | |||
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第2回 Whole Person Care 国際学会が、2017年10月にカナダ、モントリオールで開催されます | |||||
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ホスピス・緩和ケアフォーラム 2017 in 青森が開催されました | |||||
今回で30回目となる、ホスピス・緩和ケアフォーラムが、7月30日(日)青森市のリンクステーションホール青森で開催されました。 特別講演では、聖ヨハネ会桜町病院ホスピス医の大井裕子先生より「シシリーソンダースから受け継ぐホスピスのこころ」と題して、また、パネルディスカッションでは「青森に広がるホスピスケア」と題して4名のパネリストから発表があり、地域でのがん患者との取り組みなど、一般市民にも分かりやすいフォーラムとなりました。 開催にあたり、青森慈恵会病院に多大なるご協力をいただきました。 |
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ホスピス・緩和ケアボランティア研修会が開催されました | ||||||||
本年は、宮城県と岩手県の2か所で開催されました。 宮城会場では、マギーズ東京の秋山正子先生が、マギーズセンターの働きをご自身の歩みを語られながら紹介されました。また、穂波の郷クリニックの大石春美先生から実際のケアの様子が紹介されました。 |
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ホスピス財団の2017年度事業の紹介(4回シリーズ) その4 | ||||||||||||||
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ホスピス・緩和ケア白書2017が刊行されました | ||||||
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『新たな全人的ケア・・医療と教育のパラダイムシフト』 好評発売中 |
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情報コーナー |
新刊紹介 | ||
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ホスピス・緩和ケアに関する新聞記事の紹介 | ||
・「がんの生活を支える」6回シリーズ記事 がんサーバイバーと言われる方が日本には500万人おられると言われている。 それらの人々の生活を支える様々な取り組みを紹介した記事。リハビリ、経済的支援、ホームホスピス、地域での患者交流などの視点からのレポート (読売新聞 2017/7/24〜31 掲載) |
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・「死と向き合う」5回シリーズ記事(第2回は欠号で紹介) 多死時代を迎え、葬儀やお墓、お寺との関係など課題の多い中、生活苦や低収入で自分の死、家族の死を適切に扱えない人々を取材した特集記事 (毎日新聞 2017/7/16〜21 掲載) |
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・日野原重明先生の死を紹介した記事 “最期まで現役”、“自然体の生 まっとう” 105年の生涯を紹介 (毎日新聞 2017/7/19 掲載) |
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・特養でみとり広がる 介護施設に入所していても、最期は病院に運ばれるケースが多いが、最期まで親しんだ特養で看取って欲しいという声も増えつつある。 しかし、そのためには医師の助けなどサポート体制の充実が必要であることなどを紹介した記事 (毎日新聞 2017/7/12 掲載) |
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・介護・地域医療 組織超え連携 京都を中心に地域を超えて、複数の社会福祉法人が連携して、統一研修が実施できる「リガーレ暮らしの架け橋」を紹介した記事 (読売新聞 2017/7/9 掲載) |
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・「ドクター元ちゃん」 がんで逝く 「ドクター元ちゃん がんになる」というタイトルで連載記事を寄稿されていた、金沢赤十字病院副院長、西村元一先生が、5月31日に逝去されたが、先生の思いや功績を紹介した記事 同時に最後の寄稿となった「ドクター元ちゃん がんになる」を掲載 (毎日新聞 2017/7/9 掲載) |
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・記者の目 小林麻央さんからの「伝言」 自らも乳がんステージ4である記者が、小林麻央さんの闘病生活を紹介した記事に対する批判やコメントを記しつつ、がんになっても最期までその人らしく生きられる社会を目指すことを提言 (毎日新聞 2017/7/4 掲載) |
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