今月のコラム |
青海社
代表取締役社長 工藤 良治 |
木村浩子さんとの出会い
私は青海社という医書系の出版社におり、緩和ケアとリハビリテーション関連の書籍・雑誌を主に出版している。今、1年ほど前から関わっている本が最終段階、つまり校了になろうとしている。しかしこの本は、どういうわけか短歌集である。本の宣伝をするつもりは毛頭ないが、著者の木村浩子さんのキャラクターに同調し、短歌集まで出版することになったという気が最近しているので、書かせていただく。 木村さんとの最初の出会いは、9年ほど前の2008年の夏である。その頃、型通りでない本を1冊、無性に作りたくなっていた。知り合いの山根寛氏(当時、京都大学保健学科教授)に相談したところ、「そういう気持ちにぴったりな素材がある」ということだった。そして、沖縄の伊江島で平和運動や障害者運動に積極的に取り組んでいる木村さんを紹介されたのだった。 木村さんは1937年、山口県生まれ。生まれながらにして重度の脳性まひという障害を持ちながら育ってきた。山根氏は、彼女の人柄(?)と障害者の自立運動に共感し、大学生時代から行動を共にしてきた。『土の宿から「まなびやー」の風がふく』(青海社、2009年)は、1960年代の終わりに山口県周東町で誕生した「土の会」運動の木村さんおよび彼女の仲間たちの物語である。直観的で行動力のある木村さんとの関わりの中、彼女に翻弄される仲間とのさわやかでユーモラスな話が満載である。また、伊江島の簡易宿泊施設「土の宿」でプロのカメラマンが撮影した風景写真が豊富に載っている。 写真には、木村さんの短い言葉が1点1点添えられている。一部を紹介する。 「人が好き 土が好き そして私が好き」 「限りない父母の愛をうけて この地に生まれた私」 「あなたの言葉 ひとこと ひとこと 心からもらさない」 「石ころなどを並べ 今日も 人のいない浜であそぶ」 「歩くことに魅せられてから 日が短い」 「あなたに会うと 私の行く手が 拓けるような気がする」 「恩を返した、と思う すぐそのあとから受けている」 私のお気に入りの1冊である。 この本が完成して、木村さんとさらにもう1冊、作ることになった。5人の身体障害者、そして彼ら・彼女らを支える人々との間に生まれた大小さまざまな人生のドラマを通して、生きる意味を探る『奏であういのち―脳性まひとALSの人たちをめぐる物語』(青海社、2014年)』である。この本は、障害者がメインなのか。健常者を中心にしているのか、読み手によって受け取り方が違う不思議な本である。 木村さんは、口と足指で絵を描く芸術家であり、短歌も小さい頃から習っている。そして、今回の『木村浩子歌集―琉球すみれ』が誕生しようとしている。好きな一句を紹介する。 「良き出会い数多(あまた)ありつつわが一生(ひとよ)老いも至福と思う時あり」 木村さんとは、理屈でいえない、何か深い「縁」のようなものを感じている。 |
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Whole Person Care ワークショップ |
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第2回 Whole Person Care 国際学会が、2017年10月にカナダ、モントリオールで開催されます | |||||
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ホスピス財団の2017年度事業の紹介(4回シリーズ) その1 | ||||||||||||||||||||
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ホスピス財団ニュース 4月号が発行されました。 | ||||||
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ホスピス・緩和ケア白書2017が刊行されました | ||||||
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『新たな全人的ケア・・医療と教育のパラダイムシフト』 好評発売中 | ||||||
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情報コーナー |
新刊紹介 | ||||
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ホスピス・緩和ケアに関する新聞記事の紹介 | ||||
・ドクター元ちゃんがんになる(金沢赤十字病院 副院長 西村 元一医師の連載高ラム) 氏自身ががんになった時、奥様の献身的な支えが大きな力となったことから「家族力」の必要を紹介した記事 (毎日新聞 2017/4/30 掲載) |
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・医療保険と介護保険の診療・介護報酬が、2018年に同時改正されるが、とくに在宅での看取り促進や、かかりつけ医の充実が大きな課題であり、そのポイントを解説した記事
(毎日新聞 2017/4/23 掲載) |
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・胃がん手術の世界的権威である笹子医師が退職を機に、奥様と共に兵庫県で「がん哲学外来」を開設したことを紹介した記事
(毎日新聞 2017/4/22 掲載) |
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・医療的ケア児(人口呼吸器や胃瘻などのケアが必要なこども)の保育所での受け入れが、都道府県によっては、ゼロのところもあるという厚労省の調査結果を紹介した記事
(読売新聞 2017/4/20 掲載) |
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・大阪国際がんセンターで、毎月1回、4つのオーケストラが協力して、がん患者のストレスを音楽で癒す取り組みが始まったことを紹介した記事
(毎日新聞 2017/4/12 掲載) |
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・神主であり、医学部を卒業し精神科医を兼ねて、さらに臨床宗教師として活動されているユニークな人材を紹介した記事
(読売新聞 2017/3/31 夕刊掲載) |
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・シリーズ:「生と死を問う」 自宅で最期を迎える場合と、ホームホスピスで最期を迎える場合のモデルケースを横須賀市と宮崎市で取材した特集記事 (読売新聞 2017/3/19・26 連載) |
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