今月のコラム |
神戸大学 大学院 医学研究科 内科系講座 先端緩和医療学分野 教授 木澤 義之 |
とらわれずに平穏な気持ちでいること 緩和ケアの分野に身をおいて20年が経とうとしています。緩和ケアの世界も様変わりし、がん疼痛に対するオピオイドの使用が不適切だったり、がん告知をしないのが常識だった時代を振り返ると今の大学病院の臨床は様変わりしています。確かに、苦痛には目が向けられるようになり、実感としてひどい痛みで阿鼻叫喚というような光景は珍しくなったように感じています。しかしながら、患者さんやご家族のQOLは果たして改善しているのでしょうか? 在院日数が短縮化され、医療技術が高度化するにつれ、医師や看護師がこなさなければならない業務は年々増加の一途をたどっています。その上、電子カルテとデータ化が折り重なり、メールの処理をしなければならず、医療従事者はコンピューターの前で過ごす時間が非常に増えてきています。看護師の業務をとってみれば、退院支援、褥瘡(じょくそう)、栄養、せん妄、転倒防止のスクリーニングなども増えてきており、ルーチン業務をするのに精一杯だったりします。医師も看護師も病院医療者には、どうも余裕があるようには見えません。このようなスタッフに、患者さんや家族が病気以外の生活の上での気がかりを話すことができるでしょうか? 近頃私はスタッフに、真面目にならないこと、時には怠けること、患者のためには規則は破ること、を推奨?しています。(看護師さんたちごめん)何よりも、笑顔と、余裕と、とらわれない平穏な気持ちでいることがよい緩和ケアを提供する第一歩となることを実感しています。患者さんや家族と真正面に向き合って(ルーチン業務はちょっと横において)、傾聴し、その人々にできる最善のケアを提供することが私達の原点ですね。「施設の規則で良いケアできないから規則を変えてくれ!」と叫ぶ若者の出現を心待ちにしています。でないと、まだまだおじさんがやっちゃうから。 |
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第16回事業委員会が開催されました | |
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Ellershaw 教授による講演会&シンポジウムのご案内 |
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第9回 Whole Person Careワークショップのご案内 | |||||||
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『旅立ちのとき・・寄りそうあなたへのガイドブック・・』が発行されました。 | |||||||
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ホスピス財団ニュース 29号(2015年10月)が発行されました | ||||||
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個人賛助会費と一般寄附が、オンライン(クレジット決済)でも支払いが出来るようになりました | ||||
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ホスピス財団の新パンフレットをお分けしております |
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情報コーナー |
セミナー関係 | ||||
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ホスピス・緩和ケアに関する新聞記事の紹介 |
・再生医療や出生前診断など、生命科学が抱えるジレンマを哲学的に考察した、宗教学者 島薗進氏の近著「いのちを“つくって”もいいですか」を紹介しつつ、科学技術と人類の福祉という問題を取上げた記事
(読売新聞 2016/02/22 掲載) |
・がん患者の部位別、ステージ別10年生存率が公表されたが、そこから何が分るのかを、分りやすく解説した記事
(毎日新聞 2016/02/22 夕刊掲載) |
・名古屋大病院の小児科が長い入院のあと、遠隔地へ復学するためのオリエンテーション的なことをネットのビデオ通話サービスを活用して実施していることを紹介した記事
(読売新聞 2016/02/21 掲載) |
・特集記事「がん社会はどこへ」 医療用麻薬、リクエスト食、在宅緩和ケアをトピックに取り上げつつ、最近の緩和ケアの実情を紹介した記事。3回シリーズ
(毎日新聞 2016/02/10~12 掲載) |
・「地域・在宅」医療を重視した診療報酬改定案に関して、かかりつけ医や、かかりつけ薬局の役割が重視されることを紹介した記事
(毎日新聞 2016/02/11 掲載) |
・奈良市で在宅ホスピスに取り組んでいる医師にインタビューし、最期を自宅ですごし、自宅で看とられることに関して、前向きに捉えることを教えられる記事
(読売新聞 2016/01/28 掲載) |
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