(公財)ホスピス財団 メールマガジン「今月のお便り」 vol.23
今月のコラム
 
吉村 規男氏

神戸大学 大学院
医学研究科 内科系講座
先端緩和医療学分野 教授
木澤 義之
  とらわれずに平穏な気持ちでいること
 緩和ケアの分野に身をおいて20年が経とうとしています。緩和ケアの世界も様変わりし、がん疼痛に対するオピオイドの使用が不適切だったり、がん告知をしないのが常識だった時代を振り返ると今の大学病院の臨床は様変わりしています。確かに、苦痛には目が向けられるようになり、実感としてひどい痛みで阿鼻叫喚というような光景は珍しくなったように感じています。しかしながら、患者さんやご家族のQOLは果たして改善しているのでしょうか?

 在院日数が短縮化され、医療技術が高度化するにつれ、医師や看護師がこなさなければならない業務は年々増加の一途をたどっています。その上、電子カルテとデータ化が折り重なり、メールの処理をしなければならず、医療従事者はコンピューターの前で過ごす時間が非常に増えてきています。看護師の業務をとってみれば、退院支援、褥瘡(じょくそう)、栄養、せん妄、転倒防止のスクリーニングなども増えてきており、ルーチン業務をするのに精一杯だったりします。医師も看護師も病院医療者には、どうも余裕があるようには見えません。このようなスタッフに、患者さんや家族が病気以外の生活の上での気がかりを話すことができるでしょうか?

 近頃私はスタッフに、真面目にならないこと、時には怠けること、患者のためには規則は破ること、を推奨?しています。(看護師さんたちごめん)何よりも、笑顔と、余裕と、とらわれない平穏な気持ちでいることがよい緩和ケアを提供する第一歩となることを実感しています。患者さんや家族と真正面に向き合って(ルーチン業務はちょっと横において)、傾聴し、その人々にできる最善のケアを提供することが私達の原点ですね。「施設の規則で良いケアできないから規則を変えてくれ!」と叫ぶ若者の出現を心待ちにしています。でないと、まだまだおじさんがやっちゃうから。
 
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第16回事業委員会が開催されました
 
 ホスピス財団の事業運営の中心的機能を担う、事業委員会が2月11日(木・祝)にホスピス財団会議室で開催され、柏木理事長の臨席のもと11名の委員により、2015年度の事業進捗状況の報告、および2016年度の事業計画に関して、活発な意見交換、審議が行われました。
 2015年度の事業報告、および2016年度の事業計画は、「今月のお便り」に適宜、掲載する予定です。

第16回事業委員会の様子
 
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Ellershaw 教授による講演会&シンポジウムのご案内
 
第9回 Whole Person Care ワークショップのチラシ  
 この度、ホスピス財団は設立15周年記念行事の一環として、Liverpool Care Pathwayを開発された英国リバプール大学のEllershaw 教授をお招きし、講演会&シンポジウムを、第40回日本死の臨床研究会年次大会(札幌)に合わせて開催いたします。皆様のご参加をお待ちいたします。

■ 日 時:2016年10月7日(金)13:30~17:30
■ 会 場:札幌コンベンションセンター 中ホール
■ 講 演:死にゆく患者のケアをいかに改善させるか(同時通訳付)
■ 対 象:医療関係者
■ 参加費:無料
■ 定 員:300名(事前申し込み制:先着順)
 
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第9回 Whole Person Careワークショップのご案内
 
第9回 Whole Person Care ワークショップのチラシ  
 好評のWhole Person Careワークショップが2016年8月27日(土)に大阪で開催されます。
 多数のご参加をお待ちいたします。(第1回~9回は同じ内容です)
 
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『旅立ちのとき・・寄りそうあなたへのガイドブック・・』が発行されました。
 
旅立ちのときの表紙  
 旧『旅立ち』が絶版となり、多方面から再販の要望が多く寄せられていましたが、今般 『旅立ちのとき・・寄りそうあなたへのガイドブック』が新しく制作され、出版の運びとなりました。本冊子が、旧版同様、多くの人に読まれ、死という現実に目をそむけず、死を受け入れる一助になり、人生の最後に寄りそう方々に用いられることを願っております。
  ホームページでも閲覧可能ですが、ご希望の方には1冊200円(送料込)で送付いたします。
 
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ホスピス財団ニュース 29号(2015年10月)が発行されました
 
ホスピス財団ニュース29号の表紙  
 ホスピス財団の活動を紹介した機関紙「ホスピス財団ニュース」29号が発行されましたので是非ご覧ください 。
 
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個人賛助会費と一般寄附が、オンライン(クレジット決済)でも支払いが出来るようになりました
 
決済サービスのwebページの一部    ホスピス財団では、新しく CANPAN決済システムを導入し、ご自宅のパソコンを使用して賛助会費(個人)と一般寄附の支払いが可能になりました。郵便局や銀行へ出向く必要がなく手軽に利用できますので、是非、ご活用ください。詳細はホームページを参照してください。
 
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ホスピス財団の新パンフレットをお分けしております
新しくなったパンフレットの表紙    一人でも多くの方々にホスピスの使命とホスピス財団の働きを知って戴きたいとの思いから、 一般の方にも分かりやすいパンフレット『私たちはホスピス財団です』を制作いたしました。 是非、ご活用ください。ご希望の方には無料で送付いたしますので、ホスピス財団へ E-MAILで、送付先、必要部数を明記してお申し込みください。
 また、ホームページにも掲載しております。
 
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情報コーナー
セミナー関係
 
日本病院ボランティア協会 定例研修会 のチラシ   日本病院ボランティア協会 定例研修会

テーマ:「病院ボランティアの10年後をイメージする」
講 師:斉藤悦子氏(日本病院ボランティア協会 副理事長)
日 時:2016年3月15日(火) 13:00~15:30
会 場:大阪市立社会福祉センター 
参加費:資料代 500円(ボランティア協会会員は無料)


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ホスピス・緩和ケアに関する新聞記事の紹介
 
・再生医療や出生前診断など、生命科学が抱えるジレンマを哲学的に考察した、宗教学者 島薗進氏の近著「いのちを“つくって”もいいですか」を紹介しつつ、科学技術と人類の福祉という問題を取上げた記事
(読売新聞 2016/02/22 掲載)

・がん患者の部位別、ステージ別10年生存率が公表されたが、そこから何が分るのかを、分りやすく解説した記事
(毎日新聞 2016/02/22 夕刊掲載)

・名古屋大病院の小児科が長い入院のあと、遠隔地へ復学するためのオリエンテーション的なことをネットのビデオ通話サービスを活用して実施していることを紹介した記事
(読売新聞 2016/02/21 掲載)

・特集記事「がん社会はどこへ」 医療用麻薬、リクエスト食、在宅緩和ケアをトピックに取り上げつつ、最近の緩和ケアの実情を紹介した記事。3回シリーズ
(毎日新聞 2016/02/10~12 掲載)

・「地域・在宅」医療を重視した診療報酬改定案に関して、かかりつけ医や、かかりつけ薬局の役割が重視されることを紹介した記事
(毎日新聞 2016/02/11 掲載)

・奈良市で在宅ホスピスに取り組んでいる医師にインタビューし、最期を自宅ですごし、自宅で看とられることに関して、前向きに捉えることを教えられる記事
(読売新聞 2016/01/28 掲載)

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■このメールマガジンは、ホスピス財団の賛助会員をはじめ、ホスピス・緩和ケア医療従事者の皆様にお送りしております。また、お知り合いの方々にも転送していただけると幸いです
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