今月のコラム |
社会医療法人・ 社会福祉法人 栄光会 理事長・名誉ホスピス長 下稲葉 康之 |
「限りある自分の球数を悔いなく・・」 アメリカ・メジャーリーグのヤンキースで活躍し重宝がられていた黒田博樹投手が、巨額の契約金を断って広島カープに再入団したことは、清々しい美談として報じられた。しかし、やがて単なる美談では終わらなくなった。 その理由は、「自分がこれから投げられる球数には限りがある。その限りある球数を何処で投げるべきかを考えた時に、それは自分のホームグランドの広島だ」と、云うものだった。投手にとって投げられる球数は限られており、まさにいのちそのものであろう。そのいのちを削り、投手生命を賭けて投げていることになる。身を削りながら、残り少なくなる球数を一球一球と投げ込んで、自分の一度限りの人生の花道をどのように飾ることになるのかを、大切にしての決断だったことになる。 この決断に考え込んだ人は少なくないのではないか。 私も考えた。 この35年間、ひたすらに「ホスピス」に励んできた。そして、あっと云う間に歳月が流れた。私も確実に年を重ねた。眉毛は白く、髪は薄くなった。今年の誕生日で77歳、何と喜寿を迎えた。 年齢ではない、気力だと言っても、既に立派な後期高齢者である。 そこで改めて聖書を開いた。 「私たちの齢は70年。健やかであっても80年・・。それゆえに、私たちに自分の日を正しく数えることを教えてください。そうして私たちに知恵の心を得させてください」 (詩編90) 「こうしてあなたがたは、地上の残された時を、もはや人間の欲望のためではなく、神のみこころのために過ごすようになるのです」(第一ペテロ4:2) 私の残り時間も、もう少ない。この限られた貴重な時間で何が出来るかは限られている。そして、何をするかは優先順位をしっかりと判断して決めなければならない。きょうが人生最期の日、この時がこの患者さん・ご家族と関わる最期の時、この講演が最期の講演・・と、時々考えるようになった。 「自分の日を正しく数える・知恵の心」を頂きつつ、「神のみこころのために」神に仕え・人に仕えて生きていきたい、とより一層願うようになった。 このような姿勢は、身を削るような思いで人生最期のかけがえのない時間を過ごしている患者さん達の深刻な心境に、より一層、寄り添うことになるのでは思う。 |
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旅立ちのとき”出版記念講演会が開催されました |
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『旅立ちのとき・・寄りそうあなたへのガイドブック・・』が発行されました。 |
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第7回グリーフ&ビリーブメント カンファレンス開催のお知らせ | |||||||
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第9回 Whole Person Careワークショップのご案内 | |||||||
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ホスピス財団ニュース 29号(2015年10月)が発行されました | ||||||
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個人賛助会費と一般寄附が、オンライン(クレジット決済)でも支払いが出来るようになりました | ||||
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ホスピス財団の新パンフレットをお分けしております |
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情報コーナー |
セミナー関係 | ||||
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ホスピス・緩和ケアに関する新聞記事の紹介 |
・終末期相談員が患者や家族の様々な悩み、相談に対応していることを紹介した4回特集記事 (読売新聞 2015/11/13~18 掲載) |
・がんの治療に関する情報があふれているが、どれもが正しいとは限らない。なかには反論の多い書籍もあるなど、問題点を指摘した記事
(毎日新聞 2015/11/17 掲載) |
・遺伝性がんの発見へネットワークで連携している東海地域などを紹介した記事
(毎日新聞 2015/11/12 掲載) |
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