今月のコラム |
真言宗大覚寺派 持宝寺 住職 ホスピス財団評議員 高松 哲雄 |
先ごろ当財団により「ホスピス・緩和ケアに関する意識調査~人生観や死生観との関連~」というアンケートの調査結果が発表された。この調査はホスピス・緩和ケアに対する人々の意識をアンケート調査によって分析し、今後のホスピス・緩和ケアの普及に向けた課題や施策を明らかにすることを目的に全国の男女1.078名を対象に行われた。「あなたが治癒の見込みのない病気になり、死に直面したとしたら、あなたの心の支えになってくれると思うのは誰ですか」の設問に対する回答は次の通りであった。第1位に「配偶者」(69.2%)があげられ「子ども」(61.7%)「友人」(33.1%)「医師」(23.8%)と続く。「宗教者」は第9位「(4.2%)であり第10位の「支えになる人はいない」(4.1%)と拮抗する。さらに死別経験の有無での調査結果をみると、死別経験のある人にとって心の支えになる人として「子ども」や「医師」の割合が増加したものの、「宗教者」に対しては何故かその割合は低下している。人が死に直面して心や魂の痛みを感じたとき、その苦悩からの解脱に関わる専門家として宗教者に対する世間の評価は厳しいものであった。 少し前になるが、終末期医療などの現場で、患者の苦悩や精神的な苦痛を癒すために宗教者はどのような役割を果たせばいいのか。宗教者が抱えるこうした課題を宗教者と医療者が共有し、臨床における宗教者の役割を学ぶため、「21世紀高野山医療フォーラム」を起ち上げることとなった。助言を求めるため柏木理事長をたずねたおり「もっと仏教者も頑張らなきゃいけませんね」と物静かに言われたことが重く心に響き、心の深いところに鎮座した。確かに、仏教では「生老病死こそが苦悩の根源であると」と説く。これらの苦悩から解き放たれ、心の平安を導くことが仏教者の基本使命であろう。医療者の多くが死の臨床で心底エネルギーを注いでおられるものの、患者さんの苦しみ、苦悩は次々とあふれるようにでてくる。そんな場に魂の苦悩からの解脱の専門職であるはずの仏教者の姿が見えないのはなぜか。大きな課題を突きつけられた瞬間であった。 仏教界においては「ビハーラ僧」「臨床宗教師」などが、死の臨床現場における患者・家族・ご遺族の魂のケアにむけ取り組む姿が散見される。しかしながら死の臨床現場での経験が十分ではなく多くの課題が山積したままである。幸いなことに本年度、高野山大学長に当財団理事就任の機会が与えられた。これを好機とし、死に赴く患者の魂の苦悩や愛別離苦に怯える患者家族の魂の救済に向けた、確かな理論と援助技術取得のパラダイム構築に向け、当財団のご指導をうけつつ歩みを進めたく思う。 |
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『旅立ちのとき・・寄りそうあなたへのガイドブック・・』が発行されました。 |
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ホスピス・緩和ケアボランティア研修会(2015年度 その2)が開催されました | |||
7月23日(木)熊本市国際交流会館において、本年度2回目のホスピス・緩和ケアボランティア研修会が開催されました。講師の山岡憲夫先生から「輝いて今を生きる」と題して、先生の経験を通した示唆に溢れた講演がなされました。先生が最後に語られた、「人のために尽くすというのは、本当は自分自身のためである」という言葉が印象に残りました。また淀川キリスト教病院の宇野喜代子さんと、イエズス聖心病院の永田貴子さんの二人のボランティアさんから実際の活動報告を聴くことが出来ました。その後も山岡先生と宇野さん、永田さんを囲んでワークショップがもたれ、充実した研修会となりました。 なお、本年度の2回の研修会の記録は後日、ホームページへも掲載いたしますのでご期待ください。 |
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第7・8回 Whole Person Care ワークショップのご案内 | ||||||
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2016年度 事業助成募集のご案内 | |||||||||
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ホスピス・緩和ケアフォーラム2016 協力医療機関募集 | |||||||||
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ホスピス財団ニュース 28号が発行されました | ||||||
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個人賛助会費と一般寄附が、オンライン(クレジット決済)でも支払いが出来るようになりました | ||||
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ホスピス財団の新パンフレットをお分けしております |
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情報コーナー |
セミナー関係 | ||||
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ホスピス・緩和ケアに関する新聞記事の紹介 |
・第21回日本看護診断学会の市民公開シンポジウム「長寿社会のケアを考える」を紹介した記事 カール・ベッカー氏が基調講演「患者とは一期一会」など。 (読売新聞 2015/8/5 掲載) |
・医療現場に向き合う仏教者、「ビハーラ僧」「臨床宗教師」の取り組みを紹介した記事 (毎日新聞 2015/7/31 掲載) |
・死についての理解を深めることが、いのちの大切さを理解できることに結びつくと説く細谷亮太氏のコラム
(毎日新聞 2015/7/27 掲載) |
・「屋根のない特養」を全国へと題して、地域包括ケアシステムの充実を願う鎌田實氏のコラム
(毎日新聞 2015/7/21 掲載) |
・療養病床の削減を厚労省が検討していることを紹介した記事 (毎日新聞 2015/7/21 掲載) |
・1滴の尿で、がんを識別する線虫の実用化を紹介した記事。負担が少なく、判定も正確であることが特徴
(毎日新聞 2015/7/9 掲載) |
・看護資格の規制緩和が検討されていることを紹介した記事
(読売新聞 2015/7/5 掲載) |
・心臓外科の天野篤氏のコラム 医療で安心を獲得するための第1歩は信頼であり、それを築くためには医師の努力が求められると書かれている。 (毎日新聞 2015/7/2 掲載) |
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