今月のコラム |
東北大学大学院医学系研究科 保健学専攻緩和ケア看護学分野 教授 宮下 光令 |
遺族にとって調査に回答することのメリットはあるのか? 現在、日本ホスピス緩和ケア研究振興財団研究事業として遺族によるホスピス・緩和ケアの質の評価に関する研究第3次研究(J-HOPE3研究)が実施されています。この研究は2007年、2010年に実施されたJ-HOPE研究、J-HOPE2研究に引き続き3度目の財団としての全国調査です。 遺族調査では各施設の倫理委員会の承認を得て実施するのですが、そのときに頻繁に問われる質問に「遺族調査を行って遺族は心理的に負担ではないのか」「それで傷ついたり、抑うつなどの精神疾患の引き金になることがあるのではないか」というものがあり、しばしば倫理委員会の勧告で調査に参加できない施設も生じます。私が過去に遺族調査の事務局を何度か行った経験では、少なくともこのようなクレームはほとんどなかったのですが、わざわざクレームを事務局に出さなかっただけかもしれません。 そこで、J-HOPE3研究のプレスタディを行う際に、この点についてホスピス・緩和ケア病棟や在宅ホスピス、一般病棟で亡くなった方のご遺族に尋ねてみました。プレ調査では255名から回答を得ました。まず、「このアンケートに回答してつらいと感じましたか?」という質問には54%の方が「つらかった」、46%の方が「つらくなかった」と回答しました。しかし、「このアンケートに回答して、自分にとって良いことがありましたか?」という質問では、82%の方が「あった」と回答しました。以前からアンケートの自由回答欄に「アンケートに回答してよかったです」というようなコメントは散見されたのですが、これだけ多くの割合の方が「遺族調査に回答してよかった」と回答されたことは驚きました。具体的にどのようなことがよかったですか?という質問で最も多かったのは「病院やスタッフへ感謝の気持ちを伝える機会となった(67%)」で、そのほかにも「意見を伝えることで医療の発展に役立つなら良い(61%)」「当時のことを見つめ直す機会となった(42%)」「病院やスタッフへ要望を伝える機会となった(23%)、「気持ちの整理がつくきっかけとなった(13%)」という回答が得られました。これらの結果を反映してか「このようなアンケートを行い、研究をすすめることはいいことだと思いますか?」という質問には97%の方が「よいことだ」と回答しました。 J-HOPE研究では得られた回答を集計して施設に通知します。自由回答欄も個人がわからないようにして施設に伝えています。また、質の評価に関するアンケートが主ですので感謝の気持ちも改善が必要な点も伝えやすい調査だと思います。ですから、この結果は一般的な遺族調査には当てはまらないかもしれません。 この原稿を書いている2015年6月中にJ-HOPE3研究の施設へのフィードバックを終える予定です。つらい思いをしつつもこのようなお気持ちを託してご回答いただいた遺族の声を参加施設に伝え、また、日本のホスピス・緩和ケアの発展に少しでも寄与するようにまとめていきたいと思います。報告書の発行は2016年3月を予定しております。 |
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ホスピス・緩和ケアフォーラム2015 in つくばが開催されました | |||||
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ホスピス・緩和ケアボランティア研修会(2015年度 その1)が開催されました | |||
6月12日(金)奈良県立文化会館ホールにおいて、本年度1回目のホスピス・緩和ケアボランティア研修会が開催されました。講師の佐藤泰子先生のパーソナリティ溢れる講演は、とても感動的でした。寄り添うこと、聴くこと、語ることの意味を、シェーマZモデル(参考図書はこちら→)を用いて分りやすくお話しいただきました。また、グループふれ愛代表の塚野加代氏から、長年に亘るボランティア活動の経験からボランティアの真髄を学ぶことが出来ました。 | |||
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ホスピス・緩和ケアボランティア研修会(2015年度 その2) |
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第7・8回 Whole Person Care ワークショップのご案内 | ||||||
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2016年度 事業助成募集のご案内 | |||||||||
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ホスピス・緩和ケアフォーラム2016 協力医療機関募集 | |||||||||
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ホスピス財団ニュース 28号が発行されました | ||||||
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ホスピス財団の2015年度事業の紹介(4回シリーズ) |
その4 |
ホスピス財団の本年度の活動計画が、2月のホスピス財団事業委員会で企画・立案され 3月の理事会にて承認されました。今回は、ホスピス・緩和ケアに関する国際交流事業について その概要をご紹介いたします。 |
● APHN関連事業 |
● 日本・韓国・台湾 第2期共同研究事業 |
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個人賛助会費と一般寄附が、オンライン(クレジット決済)でも支払いが出来るようになりました | ||||
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ホスピス財団の新パンフレットをお分けしております |
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情報コーナー |
セミナー関係 | ||||
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ホスピス・緩和ケアに関する新聞記事の紹介 |
・俳優の今井雅之さんが大腸がんで亡くなったが、ガンの痛みで苦しんだ闘病生活をメディアが紹介したが、本当にそれでいいのかとの苦言が語られている記事
(毎日新聞 2015/6/25 掲載) |
・ホスピタルアートで、病院で癒しの空間を提供しているボランティア活動を紹介した記事 (読売新聞 2015/6/18 掲載) |
・38歳の妻をがんで亡くしたフリーライターの清水浩司さん、夫婦だったのは493日間という
体験を「がんフーフー日記」として出版し、映画も上映されていることなどを紹介した記事
(読売新聞 2015/6/14 掲載) |
・急増する認知症と家族の生活、また社会的費用の大きさを紹介した記事 (読売新聞 2015/6/14 掲載) |
・がんと闘った患者の気持ちを紹介した記事 (毎日新聞 2015/6/8 掲載) |
・尊厳死に関して日本病院会が見解を公表したことを紹介した記事、および医師らの免責法案が検討されていることを紹介した記事
(読売新聞 2015/5/28 掲載) |
・カンヌ国際映画賞で、監督賞を受賞した映画「岸部の旅」の監督である黒沢清さんを紹介した記事、「死は日常の中にあるというのが主題のひとつ」と語っている
(毎日 2015/5/26 掲載) |
・がん社会はどこへ 第2部 働き続けたい 6回の特集シリーズ (毎日新聞 2015/5/20~28 掲載) |
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