今月のコラム |
ヴォーリズ記念病院 ホスピス長 細井 順 |
「お互いさま」と言えるとき ホスピスの金言のひとつに、“not doing, but being”という一節がある。私がホスピスケアを志したおよそ20年前に出会ってから、折に触れて思い出す言葉である。 この言葉の意味は、「何かをしなくても、そこに止まるだけでいいのだよ」ということである。そうとはわかっていても、何もせずに傍にいることはとても難しい。 外科医をしていた頃の想い出であるが、がん再発で入院していた方のところに回診に行った。私に気づいて起き上がった。私はその日の調子を尋ねたが俯いたまま何も返事をしてくれない。言葉を換えて尋ねたが何も返してこない。沈黙の時間が流れた。この沈黙はとても耐え難い時間であった。「お大事に」と退室するしかなかった。 その当時、病状を尋ねる、診察する、治療薬を処方するなどを目的に病室に向かっていた私にとっては、ただ何もできずにその場にいることはできなかった。医者の仕事をさせてもらえなかったらそれでおしまいであった。 今、ホスピスにはあのときと同じく臨死期を生きる人がいる。挨拶をして黙ってベッドサイドの椅子に座り込むと、上半身を起こした。私は何も問いかけず、言葉を待つ。言葉を紡ぐのには時間を要するのだ。しばらくの沈黙をへて、「先生に出会わせてもらい、自分がちっぽけな存在であることを日々気づかされている。ありがたいことだ」と小さく頭を下げた。「私も○○さんと出会って同じように感じている」と伝え、頭を垂れた。そして、「お互いさまじゃないですか」と言い添えた。 誰もが死にゆく存在であるかぎり、ホスピスケアは「お互いさま」に根ざしたケアである。それは、医療者・介護者から臨死患者へとか、医療・介護制度を通して住民へというような、一方から他方への押しつけで成り立つことではない。たとえ、最善のシステムができたとしても、根底にある「お互いさま」を忘れてしまったら無意味であろう。 人間の有限性を自覚し、最終判断は人間をあらしめている大きな力に委ねる謙虚さをもつことが、尊厳ある死をみつめることになる。 |
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第6回 グリーフ&ビリーブメントカンファレンスが開催されました | |||
1月17日(土)、関西学院大学梅田キャンパスにて開催され84名の参加者で、会場は満席となりました。この日は阪神大震災の20周年の日でもあり、講師、参加者ともに特別の思いをもって行われました。基調講演では、講師の山本佳世子先生(上智大学グリーフケア研究所)から、グリーフケア提供者への教育の必要性が語られ、質疑応答でも活発な意見交換がなされました。 午後からは、石田真弓先生の講演と中西健二先生の事例検討が行われ中身の濃いカンファレンスとなりました。 |
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個人賛助会費と一般寄附が、オンライン(クレジット決済)でも支払いが出来るようになりました | ||||
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2014年度 ホスピス・緩和ケアボランティア研修会の開催記録が出来上がりました | ||||||
2014年度は、神戸会場と松山会場の2回の開催となりました。開催記録はホームページに掲載いたしました。 | ||||||
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2014年度 ソーシャルワーカーのスキルアップセミナー in 京都 開催報告書 |
ソーシャルワーカーのスキルアップセミナー in 京都 の開催報告書が出来上がり ホームページに掲載いたしました。 |
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ホスピス財団ニュース 27号が発行されました | ||||||
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ホスピス財団の新パンフレットをお分けしております |
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情報コーナー |
セミナー・講演会の紹介 | |||||
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近刊・新刊の紹介 | |||||
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ホスピス財団紹介パネルが三井住友信託銀行に展示されています | |||||
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ホスピス・緩和ケアに関する新聞記事の紹介 | |||
・がん医療フォーラム2014の講演・フォーラムの特集で、在宅ホスピスや地域での取組が紹介されている記事 (読売新聞 2015/1/24 掲載) |
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・レーザーでがん患部を狙い撃ちして治療するなど、新しい治療を紹介した記事 (読売新聞 2015/1/19 掲載) |
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・関西学院大学と朝日新聞が共同で、阪神大震災の遺族を対象に意識調査を実施し、その内容を紹介した特集記事 (朝日新聞 2015/1/10 掲載) |
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・渡辺和子さんと、橋本五郎氏(読売新聞特別編集委員)が、先行き不透明な時代をどのように生きるかを語り合った新春対談。3回シリーズ (読売新聞 2015/1/1、3、4 掲載) |
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・国立がん研究センター小川朝生先生(ホスピス財団事業委員)が、がん患者とその家族の抱える問題について語られた記事 (読売新聞 2014/12/26 掲載) |
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